【新型エルグランド2025】フルモデルチェンジ最新スクープ画像|発売日・価格・内装・リーク情報まとめ

日産

あの重厚な背中が、ふたたびこちらを振り返った。

ミニバンという言葉がまだ今ほど一般的でなかった1990年代、エルグランドは“特別な場所”を目指す者たちの象徴だった。ハンドルを握る父親の横顔、静かに流れる高速道路の街灯、そして後部座席で眠る家族。そのすべてが、あのクルマの室内にあった。

あれから幾度も時代は移り変わり、クルマの定義も変化した。けれど、エルグランドという名前に宿る重みは消えていなかった。

──2025年、新型エルグランドが動き出す。

まだ全貌は明らかにされていない。しかし、スパイショットやリーク情報、そしてわずかに姿を覗かせたティザー画像から、新たなE53型の輪郭が少しずつ浮かび上がってきた。

本記事では、そのスクープ画像(予想CG)を通して、見えない中から浮かび上がった「新型の本質」に迫る。そして、価格・発売日・デザイン・装備といった具体情報を交えながら、日産がこのモデルに込めた思想や狙いを読み解いていく。

これはただの新型車情報ではない。
かつてエルグランドに“誇り”を感じていたすべての人へ。
そして、もう一度「走る意味」を問い直したいと願う、あなたへ。

  1. 新型エルグランド2025のスクープ画像がついに公開!【最新デザインを徹底考察】
  2. 新型エルグランドのフルモデルチェンジはいつ?|発売時期とE53型の進化とは
    1. E53型で何が変わるのか?
  3. 【価格予想】新型エルグランドの価格帯とグレード構成|ライバルとの比較も
    1. 予想価格帯:4,500,000円〜6,800,000円
    2. 想定されるグレード構成
    3. ライバル比較:トヨタ アルファード vs 新型エルグランド
  4. 新型エルグランドはダサい?それとも革新的?|スクープ画像から読み解く賛否両論
    1. なぜ「ダサい」と言われるのか?
    2. 革新性としての「挑発」
  5. 内装画像リークと装備情報|プレミアムミニバンとしての仕上がりとは
    1. 水平基調のインパネが生み出す、包容力のある視界
    2. 2列目は“移動する書斎”か、“プライベートラウンジ”か
    3. 細部に宿る「日本の美意識」
  6. 新型エルグランドの燃費とパワートレイン予想|e-POWERとe-4ORCE搭載の可能性
    1. e-POWERとは何か──“エンジンで発電し、モーターで走る”という新しい常識
    2. e-4ORCE搭載で、“高級ミニバン”が“走りのクルマ”へ
    3. 「静かで速い」ではなく、「心地よく、安心して走れる」
  7. 新型エルグランドのデザインは“原点回帰”か?|先代ユーザーが感じる進化と違和感
    1. “押し出し”から“削ぎ落とす存在感”へ
    2. “進化”と“違和感”は、同じ場所から生まれる
    3. もう一度、「選びたい」と思える理由へ
  8. 新型エルグランドのグリルデザインが象徴する、日産の新しい哲学とは
    1. かつての主張から、“調和の造形”へ
    2. グリルレスの未来と、あえて残す“存在”
    3. ミニバンに“誇り”を取り戻すという使命
  9. 次期 新型エルグランド(E53型)とアルファードの真っ向勝負|勝敗の行方は?
    1. 数字で見れば、アルファードが“勝っている”
    2. でも、エルグランドには「語れる物語」がある
    3. 勝敗ではなく、「意味」で比べる時代へ
  10. まとめ:走る歓びと家族の時間、その両方を背負えるミニバンが帰ってきた

新型エルグランド2025のスクープ画像がついに公開!【最新デザインを徹底考察】

待ちわびたというより、「忘れかけていたあの感情が、ふと戻ってきた」──そんな表現がしっくりくる。2025年に登場するとされる次期エルグランド(E53型)の姿が、スクープ画像としていくつか報じられ始めた。

ただし、その実態は未だ“影”の中だ。公開されている画像は、カモフラージュで覆われた車体を夜間に撮影したものがほとんど。はっきりとしたディテールは見えない。

しかし、だからこそ心が騒ぐ。あのグリルの切れ込み、テールエンドに走る光の帯、全体を包む堂々たるシルエット──その一つひとつが、「日産は何かを変えようとしている」と語りかけてくる。

そして今回、筆者が注目したのは、そうした“見えない断片”をもとに再構成された予想CGの存在だ。もちろん、これは確定的な情報ではない。だが、既存のスパイショットと近年のデザイン傾向から推測されたこのビジュアルは、新型エルグランドの“核心”に触れているように思える。

フロントには、アリアやセレナと共通する日産の新世代Vモーショングリルが採用される可能性が高く、水平基調のLEDデイライトが精悍な印象を与えている。ボンネットは低く抑えられ、全高があるにも関わらず“構え”としての安定感を醸し出す。

サイドビューでは、これまでのボリューム重視のフォルムから一転、流れるようなキャラクターラインが強調されている。乗り込む瞬間の「これに乗るのか」という高揚感──それを想起させる造形だ。

リアもまた新しさがある。左右を繋ぐLEDのストリップは、近未来的な印象を与えると同時に、静かに語りかけるような落ち着きを持っている。リアハッチに配された“ELGRAND”のレタリングは、かつての「自信」ではなく「誇り」を静かに滲ませるようだ。

これらのデザインは、おそらく新型エルグランドが「過去の延長線上にあるだけのミニバンではない」という日産からのメッセージなのだろう。

大きくて、多人数乗れて、荷物が積めて……そんな機能性だけの乗り物ではなく、“感情を運ぶミニバン”へ。E53型は、その第一歩になるかもしれない。

新型エルグランドのフルモデルチェンジはいつ?|発売時期とE53型の進化とは

時が止まったようだった。最後のフルモデルチェンジから、気づけばすでに13年。ライバルたちが次々と刷新されていく中で、エルグランドだけが、変わらぬ姿のまま「時代の外側」に取り残されていた。

しかし、ついにその沈黙が破られる。

信頼性の高いリーク情報や日産関係者の発言によると、新型エルグランド──通称「E53型」の正式発表は2025年内が濃厚だ。2024年3月に公開された日産の中期経営計画「The Arc」では、2026年度までに日本国内で6車種の新型モデル投入が明言され、その中に“フルサイズミニバン”とされるシルエットが描かれていた。

さらに同年4月、「NISSAN START AGAIN 2025」と題されたブランド戦略発表会で、次期エルグランドと見られる車両の公式ティザー画像が公開されたことにより、噂は現実味を帯び始めている。

最も可能性が高いのは、2025年秋〜冬の正式発表、そして年内〜翌年春のデリバリー開始というスケジュールだ。

E53型で何が変わるのか?

これまでの情報から読み解けるE53型の進化ポイントは、単なるデザイン変更にとどまらない。

  • プラットフォームの刷新
  • 1.5L直列4気筒ターボ+e-POWERハイブリッドの採用
  • 日産独自の電動四駆「e-4ORCE」の搭載
  • 最新の運転支援技術(プロパイロット2.0など)への対応

つまり、それは「次世代エルグランド」と呼ぶにふさわしい、全方位的な刷新なのだ。

かつて、“家族を運ぶラグジュアリー”として誕生したこのクルマが、電動化の波の中でどう再構築されるのか。ステアリングを握る者としての直感が、これはただのモデルチェンジではないと告げている。

時代に追いつくためではなく──時代を再び動かすために。

【価格予想】新型エルグランドの価格帯とグレード構成|ライバルとの比較も

価格は、ただの「数字」ではない。
クルマという人生の相棒に対し、私たちが払う「覚悟の尺度」でもある。

新型エルグランド(E53型)の正式な価格は、現時点では日産からの発表はない。しかし、搭載されるであろうパワートレインや装備、そして市場の潮流を見つめることで、ある程度の予測は可能だ。

予想価格帯:4,500,000円〜6,800,000円

現行E52型の最上級モデルが約5,200,000円であること、そして次期型ではe-POWER+e-4ORCEの先進電動パワートレインが採用される可能性が高いことを考えると、エントリーグレードでも450万円前後上位グレードは700万円弱に達する可能性もある。

日産が強く推進している「電動化×高付加価値戦略」の一環として、エルグランドは単なる“高級ミニバン”ではなく、“プレミアムな電動モビリティ”として再定義されるはずだ。

想定されるグレード構成

  • Sグレード:ベーシック装備/e-POWERシステム/FF
  • Xグレード:快適装備追加/セーフティパッケージ/選択式4WD
  • Vグレード:e-4ORCE搭載/本革シート/ハイエンドナビ/2列目キャプテンシート
  • VIPグレード(仮称):完全2列+リクライニング+専用足元空調/アルファードEXECUTIVE LOUNGE対抗

ライバル比較:トヨタ アルファード vs 新型エルグランド

モデル 価格帯 駆動方式 主な特徴
トヨタ アルファード(40系) 540万〜872万円 FF / E-Four 高級志向/安全装備/ブランド力
新型エルグランド(予想) 450万〜680万円 FF / e-4ORCE 電動化/重厚デザイン/新世代Vモーショングリル

エルグランドが目指すのは、単に「安くて広い」ではない。“走り”と“快適性”を両立しながら、価格以上の物語を積んで走る──その覚悟が見える一台だ。

新型エルグランドはダサい?それとも革新的?|スクープ画像から読み解く賛否両論

クルマのデザインは、人の心を動かす“最初の一瞬”を決める。

そしていま、新型エルグランド(E53型)をめぐって、ネット上では賛否の声が飛び交っている。「ダサい」「攻めすぎ」「洗練された」「これぞ日産」──。その意見はまるで、互いに噛み合わない歯車のようだ。

スクープ画像や予想CGに写るエクステリアは、確かに従来のエルグランド像とは一線を画している。水平に伸びる薄型LEDデイライト、大型のVモーショングリル、直線と曲線が複雑に絡み合うサイドライン……それらは、懐かしさよりも“新しさ”を前面に押し出している。

なぜ「ダサい」と言われるのか?

この「違和感」こそ、デザインに対する最大の反応だ。

長年エルグランドに親しんできたユーザーの中には、「重厚」「押し出し感」「VIP感」といった旧来の価値観を求める声も少なくない。そうした人々からすると、E53型の未来的かつフラットな面構成は、あまりに“今風”すぎると映るのだろう。

特にリア周りのLEDバーや、切り立ったサイドラインには「アルファードっぽい」「海外EV風で違和感がある」といった意見も目立つ。つまり、変化に対する戸惑いだ。

革新性としての「挑発」

だが逆に、このデザインに惹かれる声もまた確実に存在する。

日産がこれまで培ってきた“技術の日産”のDNA。それを今、見た目にまで拡張しようとしているのではないか──そう感じさせる挑戦が、ここにはある。

たとえばアリアに見られる“静と動”の共存する造形、セレナの“品のある個性”、リーフの“目立たない革新”。新型エルグランドのデザインは、それら日産の未来的エッセンスを凝縮したようにも映る。

そして、このエルグランドに「ダサい」と反応すること自体が、私たちにとってどれほど“思い入れのある存在”であったかを物語っている。

クルマのデザインとは、性能や価格以上に、その人の価値観を映す鏡だ。たとえ一見「ダサい」と言われようとも、それが“今の空気”と向き合う形であれば、それはすでに一種の革新と呼んでいい。

大切なのは、「好み」で切り捨てることではなく、その“変化の意味”を受け止められるかどうか──。

内装画像リークと装備情報|プレミアムミニバンとしての仕上がりとは

クルマの内装には、そのメーカーが持つ“人への哲学”がにじむ。

スクープをもとにした新型エルグランド(E53型)の予想内装CGや情報リークからは、明らかに従来とは異なる空気感が漂っている。

これまでの「押し出し重視」から一転、目指したのは“包み込むような静けさ”。重厚さをそのまま豪華さに変換するのではなく、洗練と静寂を武器とした、知的で落ち着いたラグジュアリー空間だ。

水平基調のインパネが生み出す、包容力のある視界

予想されるインストルメントパネルは、水平にスッと伸びたシンプルな造形。そこに大型ワイドディスプレイが統合され、メーターとナビが一体化された先進的なコックピットが構築される。

センターコンソールは低く抑えられ、浮遊感のある構成に。直感的な操作性と静粛性が共存し、家族との会話も自然と穏やかになる──そんな未来的で温かみのある空間が期待される。

2列目は“移動する書斎”か、“プライベートラウンジ”か

今作で最も注目すべきは、やはり2列目シートの進化だろう。

上位グレードでは、独立型キャプテンシート+オットマン+多機能アームレストを採用。さらに後席専用ディスプレイ、読書灯、エアコン個別調整機能など、まるで飛行機のビジネスクラスのような装備が予想されている。

「移動=我慢」だった時代から、「移動=癒し」へ。
“空間としての価値”に、エルグランドは改めて向き合っている。

細部に宿る「日本の美意識」

シート表皮には合成皮革ではなく、本革+スエード調のコンビ素材の可能性も。また、ドアトリムやコンソール周辺に木目やメタルではなく、和紙調や布地風のパネルを用いた仕上げが検討されているとの噂もある。

それは奇をてらうためではなく、日本のミニバンであることへの“誇り”を表現するため──。日産がこのエルグランドに込めた精神性が、細部にまで滲み出ている。

乗った瞬間、言葉にできない安堵が胸に宿る。
内装は、そういう“心の触れ方”をする空間だと、あらためて思う。

新型エルグランドの燃費とパワートレイン予想|e-POWERとe-4ORCE搭載の可能性

速さだけが理由じゃない。静かに、滑らかに、そして確かに前へ進む──。
新型エルグランドが選んだ動力は、その“品格”をどう表現するかという問いに対する、日産の答えなのかもしれない。

現時点での情報を整理すると、次期E53型エルグランドには1.5L直列4気筒ターボ+第2世代e-POWERが採用される可能性が極めて高い。

これは、従来の「走る・止まる・燃やす」というメカニズムではなく、エンジンはあくまで発電機として働き、実際の駆動は100%電気モーターによって行われるという、シリーズ式ハイブリッドの革新モデル。

e-POWERとは何か──“エンジンで発電し、モーターで走る”という新しい常識

e-POWERの真価は、「電気で走る気持ちよさ」と「ガソリンの安心感」を両立している点にある。

  • 低速域では静かにスムーズに発進
  • アクセル操作に即応するモーター駆動のトルク感
  • エンジンは最適回転域で発電のみ=燃費効率が高い

E53型では、セレナやノートに搭載された第2世代e-POWERをさらに最適化。燃費はWLTCモードで15〜18km/L台と予想され、大型ミニバンとしては非常に優秀な数値が期待される。

e-4ORCE搭載で、“高級ミニバン”が“走りのクルマ”へ

そして、もうひとつ注目すべきが電動4WDシステム「e-4ORCE」の存在だ。

これは前後モーターによる個別制御型4WDで、滑りやすい路面や高速安定性はもちろんのこと、乗員の揺れを最小限に抑える制御まで実現している。

単に“走破性”ではなく、“快適性”のための4WD。そこにあるのは、物理的な性能ではなく感情に寄り添うテクノロジーだ。

「静かで速い」ではなく、「心地よく、安心して走れる」

新型エルグランドが目指すのは、アルファードに勝るスペックではない。
ドライバーも、乗員も、運ばれる時間そのものが豊かになるような走り

日産の電動化技術は、それを静かに、しかし確実に実現しようとしている。

それは、かつてV6エンジンの重低音に心震わせた者にとって、まったく新しい感動のかたちかもしれない。

新型エルグランドのデザインは“原点回帰”か?|先代ユーザーが感じる進化と違和感

新しいものを見るとき、人は必ず「昔と比べてどうか」を考える。

それが、かつて自分が愛したクルマであればなおさらだ。

E51型の堂々たる押し出し感。E52型で磨かれた都会的な洗練さ。
そして今、E53型として姿を現しつつある新型エルグランドは、それらとは違う“静かさ”と“凛とした佇まい”をまとう。

「変わってしまった」と感じる人もいるだろう。
「ようやく戻ってきた」と感じる人も、きっといる。

“押し出し”から“削ぎ落とす存在感”へ

初代エルグランド(E50)は、とにかく大きく、力強く、そして分かりやすく高級感を表現していた。

そのデザイン哲学はE51型でも色濃く受け継がれ、「家族を乗せたキング・オブ・ミニバン」として、多くのユーザーにとっての憧れになった。

一方、E52型になるとラインは滑らかになり、都市的で機能的な印象へと変化。アルファードやヴェルファイアといった競合との差別化が難しくなったという声も少なくなかった。

そこへ来てのE53型は、そのどちらとも違う方向性を示している。
大胆な造形よりもシャープなエッジきらびやかさよりも品格主張よりも静寂──。

この変化は、ある意味で日産が「原点に立ち返る」ための削ぎ落としではないだろうか。

“進化”と“違和感”は、同じ場所から生まれる

新型エルグランドを見たとき、多くの旧型オーナーが抱く感情。それは一言で言えば「戸惑い」だ。

でもそれは、変化が“薄い”からではない。むしろ、大きく変えたからこその違和感なのだ。

角ばったボディライン、主張するフロントフェイス、メッキ多用の時代は、たしかに終わりを迎えつつある。そんな時代の中で、新しいエルグランドが示したのは、無理に目立とうとしない強さだ。

それはまるで、かつて走りに夢中だった少年が、大人になって“言葉では語らない自信”を身につけたような変化にも見える。

もう一度、「選びたい」と思える理由へ

新型エルグランドのデザインに、あなたが何を感じるかは自由だ。

でももし、ひと目見て「違う」と思ったなら、それは心の奥底にまだ“エルグランドという記憶”が残っている証拠でもある。

大きくて、静かで、堂々としていて。
あの頃のように、もう一度「エルグランドを選びたい」と思える人が、きっと戻ってくる。

新型エルグランドのグリルデザインが象徴する、日産の新しい哲学とは

フロントグリル──それは、クルマの「顔」以上の意味を持つ。

人が表情にその人となりが滲むように、クルマもまた、そのフロントフェイスに“思想”が宿る。新型エルグランド(E53型)のグリルデザインは、ただの意匠ではない。日産がこれから向かう先を、静かに、しかし力強く語っている。

かつての主張から、“調和の造形”へ

E51やE52型では、メッキをふんだんに使った押し出しの強いグリルが象徴的だった。
「高級ミニバン=威圧感」。そんな時代の空気を反映した顔つきだった。

だが、新型では明らかにその方向性が変わっている。
Vモーショングリルを進化させた新デザインは、存在感を保ちつつ、全体と調和するように沈黙を選んだ

ラインは鋭く、シャープでありながら、目立ちすぎない。主張ではなく、“誠実さ”を感じさせる。
これは、単に流行を追った結果ではなく、日産が描く「これからのクルマのあり方」を表現しているように思える。

グリルレスの未来と、あえて残す“存在”

EVシフトの中で、世界の多くのメーカーが“グリルレス”へと進化を始めている。
だが、エルグランドはその流れに抗うように、グリルという存在をあえて“残した”。

それは、「空気ではなく、人格を持った乗り物」でありたいという日産の願いではないか。

人と人が出会うとき、最初に見るのは“顔”だ。
無個性ではなく、“誰かである”ことを証明するもの。

新型エルグランドのフロントグリルは、まさにそんな「人格あるプロポーション」を体現している。

ミニバンに“誇り”を取り戻すという使命

今、ミニバンは単なるファミリーユースとして扱われがちだ。
けれど、エルグランドのような存在には、もっと違う役割があった。

家族の時間を運び、人生の節目に寄り添い、そして背中で“父親の矜持”を語る。
その象徴が、このグリルにある。

静かだが確かに語りかけてくる──
「私は、エルグランドだ」と。

次期 新型エルグランド(E53型)とアルファードの真っ向勝負|勝敗の行方は?

ミニバン市場を語るとき、避けて通れない存在──それが「アルファード」だ。

王者として君臨し続けるアルファードと、それを一度は追い越し、そして失速したエルグランド。
その因縁の関係が、E53型によっていま、ふたたび幕を開けようとしている。

数字で見れば、アルファードが“勝っている”

トヨタ アルファード(40系)は、全長4995mm・車幅1850mm・車高1935mm。
それに対し、新型エルグランドはまだ正確な寸法こそ未発表だが、近い全長・車幅になると予想されている。

パワートレインでは、アルファードが2.5L+THSⅡを中心に展開しているのに対し、エルグランドは1.5Lターボ+e-POWER+e-4ORCEという“電動×走り”を打ち出す。

車格・装備・静粛性・ブランド認知度──いずれもアルファードが優勢。
それは誰の目にも明らかであり、日産自身も承知しているはずだ。

でも、エルグランドには「語れる物語」がある

かつてアルファードが登場する前、ミニバンの王道を走っていたのはエルグランドだった。
走りの良さ、存在感、ドライバーズカーとしての快適性。
そして何より、「日産がミニバンに本気で向き合っていた時代」を象徴する一台だった。

その歴史を背負って復活するE53型には、スペックでは測れない“誇りの継承”がある。

たとえマーケットシェアで勝てなくても、「この1台を選ぶ理由」が語れるクルマになれたなら、数字以上の価値がある。

勝敗ではなく、「意味」で比べる時代へ

もし、あなたがこれからミニバンを選ぼうとしているなら──
カタログのスペック表だけを比べるのではなく、こう問いかけてほしい。

「このクルマで、どんな人生の瞬間を過ごしたいか?」

アルファードが“絶対王者”であるのは事実だ。
だが、新型エルグランドが目指しているのは、勝ち負けの土俵ではなく、対話のフィールド

それは、ライバルとの戦いではなく、
「もう一度、走る意味を思い出せるかどうか」という、自分自身との再会なのだ。

まとめ:走る歓びと家族の時間、その両方を背負えるミニバンが帰ってきた

新型エルグランド(E53型)が向き合っているのは、単なるモデルチェンジではない。

それは、かつてこのクルマに憧れ、選び、家族の時間を乗せてきた人たちへの“再提案”だ。

かつてのような派手さはないかもしれない。
でも、その代わりにあるのは、技術と誠実さ、静けさと対話
そして、運転席に座った瞬間、かすかに心がほぐれるような──そんな温もりだ。

アルファードやヴェルファイアが華やかに進化していくなかで、エルグランドはあえて“静かに進むこと”を選んだ。
それは、もう一度「走る意味」を思い出すための選択なのかもしれない。

かつて、父がハンドルを握っていた。
いま、自分がそのステアリングを握る番だ。

そのハンドルの先にあるものは、
走る歓びと、守りたい時間

新型エルグランド──それは、時代に背を向けるのではなく、
時代の中に“人の温度”を取り戻そうとする一台だ。

速さだけが理由じゃない。
このクルマは、“人生を運ぶ意味”を知っている。

執筆:橘 譲二(たちばな・じょうじ)

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