新型エルグランドの標準車は、X e-4ORCEが689万7,000円、G e-4ORCEが757万9,000円。価格差は68万2,000円で、両車とも第3世代e-POWERを採用する4WD・7人乗りだ。選ぶ軸は「走る仕組みを手に入れるためにGが必要か」ではなく、後席・画面・運転支援の装備にどこまで求めるかになる。
家族を乗せる車だから、運転する人の楽しみを諦める必要はない。ただ、700万円前後の買い物を、雰囲気だけで決めるわけにもいかない。僕なら家族が座る席と、自分が触れる装備を分けて確かめる。本稿は2026年9月29日に確認した日本仕様の公式資料に基づく購入ガイドで、筆者の試乗記ではない。
アイキャッチは、公式の実車画像を参考に制作したAI生成イメージです。実際の試乗写真ではなく、細部や色の正確な確認にはメーカーの写真をご覧ください。
発売日とX・Gの価格を整理
日産は2026年7月16日に新型エルグランドを発売した。すでに正式発表された車なので、「2026年夏に出るかもしれない」という発売前の予想と区別して読もう。日産の発売発表で確認できる標準車の価格は次の通り。
| グレード | 駆動・定員 | 車両本体価格・税込 | Xとの差 |
|---|---|---|---|
| X e-4ORCE | 4WD・7人 | 6,897,000円 | — |
| G e-4ORCE | 4WD・7人 | 7,579,000円 | 682,000円 |
メーカー希望小売価格であり、特別塗装色、メーカー・販売店オプション、消費税以外の税金や登録諸費用などは別。AUTECH、AUTECH LINE、VIP、ステップタイプも設定されるが、ここでは購入判断の基準になる標準X・Gに絞る。最新の派生車と見積もりは公式価格・グレードページで照合したい。
XとGの装備差:後席をよく使うかが分かれ道
次の表は2026年7月版の主要装備一覧の標準装備・メーカーオプションを区別して整理したものだ。セットオプションの同時装着条件や価格は注文時に確認する。
| 装備 | X e-4ORCE | G e-4ORCE |
|---|---|---|
| メーターのディスプレイ | 12.3インチ標準、14.3インチはセットオプション | 14.3インチ標準 |
| センターディスプレイ | 12.3インチ標準、14.3インチはセットオプション | 14.3インチ標準 |
| 2列目のパワーシート・オットマン | 非装備 | 標準 |
| 2列目ベンチレーション | 非装備 | 標準 |
| 2列目シートヒーター | 標準 | 標準 |
| AC100V・1500W電源 | 非装備 | 標準 |
| プロパイロット | 標準 | ナビリンク・渋滞時ハンズオフ・車線変更支援付きが標準 |
| プロパイロット2.0 | 設定なし | メーカーオプション |
| BOSE・22スピーカー | 設定なし | メーカーオプション |
「Gを買えばBOSEも2.0も全部付く」と思い込むと、見積もりの最後に予算が膨らむ。反対に、Xでも走行系の基本技術を備えるため、価格だけで見劣りする車と決めつける必要はない。
僕なら、普段の後席が子ども中心なのか、大人が長距離を過ごすのかを最初に聞く。後席の電動調整やベンチレーションをよく使う家庭ではGを比べる意味がある。運転席中心で、後席を使う頻度が低いならXの装備で満たせることもある。最高級仕様より、使われる装備にお金をかけたい。
内装・2列目・3列目で確かめたいこと
豪華な内装写真を見ると、どうしても一番くつろげる姿勢だけに目が行く。しかし、実際に移動する日は人数も荷物も増える。後席を大きく下げた展示状態と、7人乗車時の状態を分けて確かめたい。
3列目は前方または後方の2か所で跳ね上げ格納できる「マルチアップ」を採用する。格納した席の位置によって、使いやすい荷室の形や2列目との関係が変わるため、実車では両方の操作を試したい。力をかける位置、座席の固定、荷物を持ったまま操作できるかまで確認すると、カタログ以上に使い方が見えてくる。日産公式の室内空間にシートや収納の説明がある。
メーカーは7人乗車で機内持ち込みサイズのスーツケース7個を積める例を紹介している。ただし、すべてのケースの寸法が同じではない。ベビーカー、部活動の道具、旅行バッグを混載する家庭なら、自分の荷物の外寸で考え直そう。「7個」という数字より、旅行の帰りに増えた土産まで積めるかが大事だ。
| 使用場面 | 展示車での確認ポイント |
|---|---|
| 7人で長距離移動 | 2列目と3列目の足元を両立できる前後位置、最後列からの見通し |
| 小さな子どもの送迎 | ステップとグリップへ手足が届くか、チャイルドシートを装着して乗せ降ろしできるか |
| 大人が2列目を常用 | 背もたれ・座面・オットマンの調整範囲、乗車姿勢でのシートベルトの位置 |
| 旅行やアウトドア | 3列目格納時の左右の張り出し、荷物を固定する方法、バックドアの開く余裕 |
AC100V電源はGに設定されるが、3か所の差込口があることから単純に「4,500W使える」と計算してはいけない。使用可能な機器、合計消費電力、給電時の操作条件は車両の取扱説明書で確認する。
全幅1,895mm・全長4,995mmを受け入れられるか
X・Gの主要諸元は全長4,995mm、全幅1,895mm、全高1,975mm、最小回転半径5.8m。Gのプロパイロット2.0装着車では全高1,970mmとされる。Xの車両重量は2,430kg、Gは2,440kgで、オプションにより変わる。
数字上は全長5m未満でも、全長5mの車庫に使いやすく収まるとは限らない。車の前後に残る隙間、シャッター、バックドア、柱を含めて確認したい。立体駐車場は高さだけでなく重量の上限も見る必要がある。
室内長3,165mmも、そのままフラットな寝床長ではない。室内の規定の測定値と、シートを倒して荷物を置ける面の寸法は別だ。車中泊を主目的にするなら、横になれる長さと段差、就寝中の荷物置き場を現車で確かめよう。
試乗では運転席と後席の両方で判断する
第3世代e-POWER、e-4ORCE、電子制御ショックアブソーバーは新型の大きな特徴だ。ただし、技術があることと、すべての家族が同じように快適だと感じることは別。発進と停止、路面の継ぎ目、右左折など日常の動きを確認したい。
同乗できる家族には、2列目だけでなく3列目にも座ってもらう。試乗車がGで購入候補がXなら、席の仕様や装備が異なることを記録しておく。プロパイロットは運転支援であり、運転を車に任せきりにしてよい機能ではない。利用できる道路や速度などの条件を説明してもらおう。
燃料代や走行技術の考え方は、エルグランドの燃費とe-POWERの解説にまとめた。見た目と色を比べたい場合は、外観・カラーの確認記事も参考にしてほしい。
見積もりは車両・オプション・下取りを分ける
XとGを比べるなら、同じボディカラー、ドラレコ、マットなどをそろえて見積もる。メーカーオプションは注文後に追加できないものがあるため、「あとで考える装備」と「契約前に決める装備」を分けたい。下取り額は車両値引きと混ぜず、別欄で残すと乗り換え費用を把握しやすい。
納期・受注状況は、車検と手放す日から逆算する
納期については、発売日から全国一律の期間を推定できない。2026年9月30日時点で、この記事では販売店別の割当や在庫を調査していない。公式ラインアップにX・Gが載っていることと、希望店舗で希望仕様を今すぐ注文できることは別だ。
| 商談で聞くこと | 確認を具体的にする質問 |
|---|---|
| 受注可否 | 希望するグレード・色・メーカーオプションの組合せを注文できるか |
| 提示された時期 | 工場出荷の見込みか、登録や用品取付けを終えた店舗納車の見込みか |
| 在庫・割当 | 現車や販売店の割当があるのか、今から生産待ちとなるのか |
| 変更 | 仕様の変更期限と、変更による価格・納期の扱い |
| 連絡 | 予定が遅れた場合、いつ、どの方法で知らせてもらえるか |
| 今の車 | 下取り額の有効期限、走行距離や車検の条件、引渡し日 |
今の車の車検が迫るなら、納車見込みだけに合わせて売却日を確定せず、車検を通す場合や代車等が必要な場合も含めた費用を整理したい。納期短縮のために在庫車へ替える場合も、希望したメーカー装備が備わっているかを一つずつ照合する。
全国一律の待ち月数や値引き相場を置くより、仕様を固定した見積書に受注・納車の説明を残してもらうほうが乗り換えの日程を組みやすい。注文前には公式グレード情報を開き、販売店と同じ車を見ながら話を進めよう。
僕の結論は明快だ。Xを基準に必要な装備を書き出し、Gの後席機能に家族が価値を感じるかを確かめる。家族のための大きな一台だからこそ、家族の使い方を主役にしたい。
編集記録:2026年9月29日、正式発売後の価格と装備へ更新。根拠を確認できない試乗・関係者の談話、システム出力の断定、発売前の予想を修正した。
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