あの夜、エンジンを切ったあとも──ボンネットに立ち上る熱に、鼓動が宿っていた。
まるで、まだ走り足りないと語りかけてくるようだった。
ルームミラーに映るテールランプの残像に、僕は何度も心を引き戻された。
R35という名の記憶。
それはただのクルマじゃなかった。
あのステアリングには、僕の青春が詰まっていた。
だからこそ、何度も振り返ってしまった。
でも、道は前にしか伸びていない。
次のコーナーは、いつだって視界の先にある。
日産GT-Rという魂が、再び“未来”と真っ直ぐに向き合う瞬間。
僕らが耳を澄ませるべきなのは、数値やスペックじゃない。
聞こえてくるのは、もっと根源的な問いの答え──
「なぜ、走るのか。」
たったそれだけで、心は再びアクセルを踏みたくなる。
GT-Rはいつも、そうやって僕らを“走りたくさせる存在”だったから。
R36開発は今どこまで進んでいる?
2025年8月、GT-R R35型は生産を終了し、その長い歴史に一つの幕を引いた。 それはまるで、長い旅を終えた戦士が、静かに剣を置いたかのようだった。
しかし、その背中が見せた沈黙は、次なる革新の胎動だった。
複数の信頼筋やリーク情報では、R36の登場は2030年以降と予想されている。 中でも注目されるのが、電動化への対応だ。
全固体電池──それは単なるバッテリーではない。 “鼓動を持つ電気”として、Rの名に新たな意味を与える存在になるのかもしれない。
新型GT-R R36の価格はどうなる?歴代モデルとの比較も
GT-Rの価格は、数字以上に“哲学”を語る。
R35初期型が777万円だったのに対し、最終モデルでは約1,400万円に達している。
R36では、1,500万円を超える価格帯が有力視されている。 一部のメディアでは2,000万円を超える可能性も報じられており、これはNSXや911ターボSなどと同列の市場帯を意味する。
だが、それは“高い”のではない。“覚悟の値段”だ。
速さだけを求めるなら、もっと手頃な選択肢はいくらでもある。 でも、GT-Rに求めるのは、あの瞬間にしか味わえない“魂の震え”なのだ。
エンジンはEV化?全固体電池と1,000kW級のパフォーマンスとは
最大の注目ポイントは、R36が完全EV化されるかどうかだ。 現在噂されているのは、全固体電池を搭載したハイパフォーマンスEV仕様。
出力はなんと1,360PS(1,000kW級)とも言われ、0-100km/h加速は約2.0秒台と予想されている。
しかし──スペックだけでは語れない世界が、GT-Rにはある。
アクセルを踏んだ瞬間の緊張、心拍数が同期するような高揚。 エンジンの咆哮がなくても、ステアリングから伝わる“意志”があれば、魂は震えるのか。
EVという静寂の中で、Rの血統が叫びを上げるかどうか──。 僕らはその答えを、ハンドルの先に求めている。
外観デザインの予想図と実現性
レンダリングCGの多くは、未来的で、時に牙を剥くような攻撃的なフォルムをしている。
空力を極めたそのフォルム。光の刃のようなシグネチャー。
そして、GT-Rという名の記号を、時空を超えて再構築したかのような存在感。
果たしてR36が、この姿で現実になるのかは、誰にもわからない。
だけど──ふとした角度で見えたあのシルエットに、確かに歴代GT-Rの面影があった。
それだけで、胸の奥で何かが脈打った。
ステアリングを握っていたあの頃の自分が、未来のビジョンに向かって走り出すのが見えた。
“伝説”とは、過去の記録ではなく、未来への意志なのかもしれない。
2026年発売説の真偽と今後のイベント予定
日産は出展イベントにおいて、新型モデルの“示唆”を行うと予測されている。 特に注目されるのは、2026年前半に開催予定のJMS(ジャパンモビリティショー)である。
歴代GT-Rも、モーターショーという“舞台”でその幕を開けてきた。 だからこそ、R36もまた──そのベールを脱ぐ瞬間は、静寂と期待が交錯するステージの上であってほしい。
未来のGT-Rに乗るということ──ファンが抱く期待と不安
「GT-RがEVになったら、もうGT-Rじゃない」 そんな声が、SNSやフォーラムでは少なくない。
でも、僕は思うんだ。 GT-Rは、“音”じゃない。“姿勢”なんだと。
アンケートでは、
- 「音がなくても、魂は感じたい」
- 「電気でも“Rの哲学”が生きていれば買う」といった声も多く、新しい価値観を受け入れる準備が始まっている。
GT-Rは、いつだって“常識”を裏切ってきたクルマだ。 スカイラインの名を背負って走り、独立してなお、Rの血統を絶やさなかった。
次の裏切りが、ただの驚きではなく“感動”であってほしい。
たとえ静かでも、たとえ音がしなくても、そこに“走る意味”が宿るなら── 僕は、R36にステアリングを託したい。
【FAQ】R36に関するよくある質問
Q. R36の発売はいつ? A. 現時点では未発表
Q. EVになるの? A. 噂レベルだが、全固体電池EV化が有力。
Q. 価格はどれくらい? A. 最低でも1,500万円以上、2,000万円超えの可能性も。
Q. R35の中古価格に影響ある? A. R35の希少価値がさらに高まり、プレミア化する可能性あり。
Q. 既存GT-Rとのパーツ互換は? A. EV化される場合、パーツ互換性は極めて低くなる見込み。
まとめ:R36は「未来」とどう向き合うのか
R36とは、単なるフルモデルチェンジではない。 それは「クルマとは何か」「走るとは何か」をもう一度問い直すためのプロジェクトだ。
速さ、静かさ、環境性能──そして情熱。 そのすべてを1台に込めるために、GT-Rは再び立ち上がろうとしている。
ステアリングを切る角度は、人生の選択に似ている。 たとえ視界の先が霧に包まれていても、進む先に“意味”があれば、人は迷わずアクセルを踏める。
“走る意味”を、未来へ。 その答えを、R36で感じたい。
ステアリングを握るたびに思い出す。夜の湾岸、友と交わした無言のバトル、震える手と高鳴る心臓。R36 GT‑Rは、あの時間の続きかもしれない。
それはただの新型車じゃない。
“速さ”という名の呪縛と、“らしさ”という遺伝子を背負った、未来への意志表明だ。
R36はまだ、影のような存在だ。でも、その存在は確かに僕らの鼓動に触れている。
走る意味を忘れかけた世代に、もう一度、問いを投げかけてくれる。
――君は、何のために走るのか?
執筆:橘 譲二(たちばな・じょうじ)
【参考・引用元】
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