ホンダS660を手放した理由は?軽じゃない走りと普段使いの本音

ホンダ

ホンダ S660は「軽じゃない」と言われるほど走りが濃い一台だが、手放した理由の多くは性能ではなく、荷物・家族・長距離といった生活面にある。

先に結論を言う。ホンダ S660 は「軽じゃない」と言われるほど走りが本格的で、通勤や普段使いも工夫すれば十分こなせる。ただし長距離と荷物だけは割り切りが要る——これが、僕が大型車から乗り換えて分かった素直な答えだ。

かつてクルマを追いかけていた僕が、ある朝ふと思った。「速さ」ではなく、「感じること」が足りていないのではないか、と。日々の通勤ではただアクセルを踏み、ブレーキを握り、ハンドルを回す。クルマは道具になっていた。

そんな僕がある日ふらりと中古車展示場で目にしたのが、ホンダ S660だった。2シーター、ミッドシップ、軽自動車。派手さはない。だが、その小さなボディの中に、「走る意味」を思い出させてくれる魅力が詰まっていた。心が震えるクルマとは、こういうものか、と。

この記事では、僕がなぜ大型の車からこのS660に惹かれたのか。その理由を、スペック、乗り味、中古での注意点、他車との比較を通じて一つずつ明かしていく。さらに今回は、検索でよく聞かれる「S660を手放した理由」「ホンダ S660は軽じゃないのか」「S660の普段使い・通勤」「S660で長距離はしんどいのか」「S660の軽量化と限界」「S660の後継モデル」まで、僕の実感とあわせて正直に答えていく。

もしあなたも、日常の中で「ただ移動するクルマ」では満足できなくなっているなら、この小さな相棒が答えを持っているかもしれない。

この記事を読めば分かること(先に要点)

  • 「軽じゃない」の正体:規格は軽でも、中身はミッドシップ+後輪駆動の本格スポーツ。
  • 普段使い・通勤:片道30分・荷物カバン1つまでなら十分実用的。小回りは武器。
  • 長距離:不可能ではないが快適ではない。日帰り〜1泊が現実的なライン。
  • 軽量化の限界:物理ではなく「快適・安全装備とのトレードオフ」で決まる。
  • 手放した理由:走りへの不満ではなく、家族や荷物などライフステージの変化が大半。
  • 後継モデル:2026年6月時点で正式な直接後継は未発表。

ホンダS660を手放した理由は?軽じゃない魅力と弱点の答え

結論から言うと、S660を手放した理由として多いのは「走りがつまらないから」ではなく、「生活に合わなくなったから」だ。荷物が積めない、2人しか乗れない、長距離が疲れる、家族が増えた——そうした現実が、S660の魅力を上回ったときに手放す人が出てくる。

ここは大事なポイントだ。S660は、欠点の多い失敗作ではない。むしろ逆で、走りに振り切りすぎたからこそ、生活の変化に弱い。つまり、手放した理由の多くは「S660が悪い」のではなく、S660の性格を日常が受け止めきれなくなったということなのだ。

僕がS660に惹かれた理由も、まさにそこにある。便利さで選ぶクルマではない。広さで選ぶクルマでもない。ステアリングを握った瞬間、背中の後ろでエンジンが目を覚まし、曲がるたびに車体の中心が自分の腰のあたりで回る。その体験に価値を見出せる人だけが、このクルマの本質に近づける。

だから、購入前に最初に考えるべき問いは「S660は速いか?」ではない。「自分の生活は、2シーター軽スポーツを受け入れられるか?」だ。

この問いに正直に答えられる人なら、S660は長く付き合える相棒になる。逆に、家族車・買い物車・旅行車・通勤車のすべてを1台でこなそうとすると、どこかで無理が出る。S660は万能ではない。だが、万能ではないからこそ、あれほど濃い。


ホンダS660は「軽じゃない」と言われるのはなぜ?

結論から言えば、S660が「軽じゃない」と評されるのは、軽自動車規格の枠の中にミッドシップ+後輪駆動(MR)という本格スポーツカーの骨格を詰め込んでいるからだ。ナンバーは黄色でも、設計思想はスポーツカーそのもの。だから多くのオーナーが「これは軽じゃない」と口を揃える。

軽自動車の多くは、前にエンジンを積んで前輪を駆動するFFだ。実用性とコストを優先した、ごく合理的なレイアウトである。
でもS660は、運転席のすぐ後ろにエンジンを置き、後輪だけで地面を蹴る。これはホンダのスーパーカー「NSX」と同じ思想の並べ方だ。

この「軽じゃない」という感覚を生んでいる要素を、整理するとこうなる。

  • MR(ミッドシップ後輪駆動):車体の中心に重さが集まり、回頭性が鋭い。曲がる楽しさが軽の常識を超える。
  • 専用設計のボディと低い着座位置:N-BOXなどの流用ではなく、スポーツ走行のために骨格から作られている。腰の位置まで沈み込むシートで重心が低い。
  • 低くワイドなスタイリング:全高1180mmは一般的な軽とはまったく違う視界を生む。信号待ちで隣に並ぶと、まるでミニチュアのスーパーカーだ。
  • 使い切れる64馬力:大排気量車のような余裕はないが、アクセルを深く踏み、エンジンを回し切る楽しさがある。

つまり「軽じゃない」というのは、排気量やナンバーの話ではなく、走りの質が軽の枠を飛び越えているという賛辞なのだ。
筆者としては、これこそがS660最大のアイデンティティだと考えている。数字では測れない“格”が、このクルマには確かにある。

もう一歩踏み込むと、「ホンダ s660 軽 じゃ ない」と検索する人の多くは、スペック表だけ見て「たかが64馬力の軽でしょ」と侮っていた人だ。ところが試乗した瞬間に評価が一変する。ステアリングの正確さ、低い視点、エンジンが背中で唸る感覚——これらが合わさると、脳が「これは軽だ」という前提を勝手に上書きしてしまう。体感が規格を裏切るのがS660なのだ。

補足しておくと、「ホンダ 2シーター 軽」というジャンルで現実的に選べるのは、いまやS660とダイハツ コペンくらいしかない。その中でも、駆動方式まで走りに振り切ったのはS660だけ。だからこそ「軽じゃない」という言葉が、このクルマには一番似合うのだと思う。


1. 軽スポーツカーの現在地:なぜS660が特別か

スポーツカーといえば、「大排気量」「爆音マフラー」「ド派手なエアロ」というイメージが、昔はあった。
でも今の時代、それは少し古い常識かもしれない。

僕らが生きるこの現代では、燃費、維持費、環境性能、家族の理解……そういった現実的な要素が、クルマ選びに大きく影響するようになった。
「走りたい」という気持ちだけで、好きなクルマに飛びつけた20代の頃とは、違うのだ。

そんな今、「軽スポーツカー」という選択肢が、ひっそりと再評価されている。

でも実際のところ、新車で買える“本気の軽スポーツ”は、もうほとんど残っていない。
ホンダ S660が生産終了した2022年3月、それはある意味、「国産軽スポーツの終焉」を告げる鐘の音だった。

新車ではもう手に入らない──
それでも、いや、だからこそ、S660は特別な存在になった

補足しておくと、S660は2015年4月に発売された。これはホンダの軽スポーツとしては、1996年に生産を終えた名車「ビート」以来、約19年ぶりの復活だった。
つまりS660は、ホンダにとっても「軽でもスポーツを諦めない」という意地の結晶なのだ。だからこそ、この一台は単なる中古車以上の意味を持っている。

さらに言えば、S660が生まれた背景には“社内公募からの市販化”という珍しい物語がある。若手社員のアイデアコンテストから出発し、量産まで漕ぎ着けた経緯は、メーカーとしてのホンダらしさそのものだ。クルマの隅々に「作り手の情熱」がにじんでいると感じるのは、こうした出自を知るとなおさらだ。筆者としては、この“熱量の密度”こそが、S660を他の軽と決定的に分けていると考えている。


その理由を、僕なりに3つにまとめてみよう。


● ミッドシップ、リア駆動──それだけで心が躍る。

まず最も衝撃だったのは、ミッドシップ+後輪駆動(MR)というレイアウト。
普通、軽自動車はFF(前輪駆動)が基本だ。でもS660は違った。
エンジンが車体の真ん中に積まれていて、力が後輪に伝わる。

この構造がもたらすのは、「曲がる歓び」そのものだ。
峠道での挙動、アクセルを抜いた瞬間の荷重移動、ステアリングへの正確な返答。
一つひとつのコーナーが、「操作してる」という実感に変わる。

軽い車体が、意のままに回る。
この感覚は、スペック表には絶対に書かれていない、乗って初めてわかる魔法だ。


● 2シーターの潔さ──クルマと、自分と、もうひとり。

次に語りたいのは、その2シーターという仕様。

「4人乗れないの?」と聞かれることも多いけど、正直言って──いらない
このクルマに乗せたいのは、自分と、たった一人の相棒だけだから。

ドライブ中、助手席の人と静かな音楽を聴きながら交わす会話。
何も言わずに並んで、ハンドルを握る手だけがすべてを語ってくれる時間。

2人だけの空間に、エンジンの音が混ざる。それだけで、十分だった。

ちなみに「ホンダ 2シーター 軽」で探すと、現実的な選択肢はS660とダイハツ コペンにほぼ絞られる。
その中でも、純粋に走りへ全振りした2シーターという意味で、S660は唯一無二の立ち位置にある。


● 軽ならではの現実的な“幸せ”

最後に触れておきたいのは、維持コストのバランスだ。

正直、僕も家庭がある。
子どもの教育費、住宅ローン、保険、老後の準備……。クルマにばかりお金をかけられない。

でもS660は、その「現実」とも折り合いがつく。

  • 自動車税は年1万円ちょっと。
  • 保険料も軽自動車クラス。
  • タイヤは15〜16インチ。消耗品も手頃。
  • 燃費も20km/L近く走ってくれる。

「走る歓び」と「生活の現実」──その両方を諦めなくていい。
これこそ、S660が“今の僕たち世代”にとって最適な選択肢だと思う理由だ。


S660は、小さい。
だけど、そのボディの中には、走ることの本質と、人生との向き合い方が詰まっている

軽という制約を逆手に取り、“走り”に全振りした設計思想。
そこには、かつてクルマに恋をしていた僕たちの心を、もう一度熱くさせる何かがある。

S660を見つけたとき、僕は確かに思った。
「そうだ、俺は、こういうクルマを探してたんだ」って。


2. スペックで語るS660の骨格:性能と数字に宿る味わい

カタログスペックをただ並べるだけじゃ、このクルマの本質は見えてこない。
でもだからこそ、「数字の向こうにある走り」を感じるかどうかが大切なんだと思う。

S660のスペックはこうだ:

項目 内容
エンジン/排気量 658cc 直列3気筒ターボ(S07Aエンジン)
駆動方式 ミッドシップ + 後輪駆動(MRレイアウト)
変速機 6速マニュアル or CVT(スポーツモードあり)
車重 約830〜850kg
サイズ 全長3395mm × 全幅1475mm × 全高1180mm

この数字のひとつひとつが、乗った瞬間に“体感”へと変わる。
ただの数値じゃなくて、「走りの味」そのものになる。

注目したいのは、全長3395mmという数字だ。これは軽規格いっぱいの寸法だが、ホイールベース(前後タイヤの距離)はあえて長めにとられ、トレッド(左右の踏ん張り)も目一杯広げられている。「短いけれど、踏ん張る」——この絶妙な比率が、あの安定した回頭性を生んでいる。数字を読み解くほど、設計者がどこに知恵を絞ったのかが見えてくる。


● 軽量ゆえのキレと、意思の伝わり方

まず驚くのは、その軽さ。たった830kgちょっと。
昔乗っていたGT-Rの半分にも満たない車重だ。

この軽さが何を生むか──
ステアリングを切った瞬間にわかる、反応の速さ。

例えば、山道のヘアピン。
アクセルを戻して、ハンドルを少し切っただけで、スッとノーズがインに入る。
「自分の意思が、そのままクルマに乗り移っているんじゃないか?」って錯覚すらする。

旋回中のロールも小さく、視線の動きと車体の動きがぴたりと合う。
この感覚は、たとえパワーがなくても、走りに陶酔できる要素だと思う。


● 馬力64ps──その“上限”が、逆に面白い

「馬力は軽の自主規制枠、64psです。」

そう言われると、速さに夢を見ていたかつての僕なら、鼻で笑っていたかもしれない。
でも、実際に乗ってみると、これは数字以上の「心地いいパワー感」だった。

0-100km/hの加速なんて、今どきのターボ付きミニバンにも勝てないかもしれない。
でも、S660は“加速の質”が違う。

3,000回転を超えたあたりからターボが効き始め、6,000回転付近でピークを迎える。
MTモデルなら、それを自分の手で引き出す感覚がある。

シフトダウンしてエンジンブレーキを当てる。
コーナーを抜けて、2速で回して、スロットルを開ける──

この一連の動作が、たった64馬力のはずなのに、心拍数をグッと上げてくれる。

付け加えると、最高出力64psは6000回転で発生するが、それ以上に効いてくるのが低めの回転からふくらむトルク感だ。「使い切れるパワー」であることが、公道では何よりの武器になる。大排気量車のように“2割しか踏めずに終わる”もどかしさがない。アクセルを床まで踏んでも法定速度の範囲で楽しめる——この健全さこそ、64馬力という上限の隠れた美点だと筆者は考えている。


● ミッドシップという正義──バランスと重心

ミッドシップの恩恵は、ただ後ろにエンジンがあるだけじゃない。
車の中心でエンジンが呼吸しているような感覚が、走っているとわかるんだ。

フロントが軽く、コーナリング時に自然にノーズが入っていく。
そのあとでリアがきちんとついてくる。

「これ、軽だよね?」と自分で疑いたくなるくらい、
一体感がある。

それに、重心が低い。
ドライビングポジションが腰の位置まで落ちているから、クルマとの距離が近い
それがまた、走っていて気持ちいいんだ。


● もちろん、トレードオフもある

完璧なクルマなんて、存在しない。
S660にも当然、弱点がある。

  • 高速道路の合流で「あれ?踏んでも伸びないな」と感じる加速力。
    特にMTモデルでも、合流時にはギア選びに気を遣う。
  • 屋根の開閉は完全手動のロールトップ。
    コペンみたいに電動じゃないから、突然の雨ではちょっと慌てる。
  • 荷物は、ほとんど載らない。
    書類カバンひとつ、リュックひとつが限界。週末のドライブなら問題ないけど、旅行には正直向いていない。

でも、そういった“できないこと”を理解したうえで選ぶと、
「できること」の喜びが、何倍にも感じられるのがこのクルマの魅力なんだ。


S660は、数字の羅列で判断してしまえば、もったいない。

そこにあるのは、「軽いこと」「パワーが少ないこと」「荷物が積めないこと」──
だけど、その裏にある「走る意味」「クルマとつながる感覚」「自分と向き合う時間」こそ、
このクルマのスペックに宿った“走りの哲学”だと思う。

数字に現れない価値を、ハンドルを通じて感じられる。
それがS660のスペックが、ただの数値じゃない“味わい”になる理由だ。


3. 乗って分かった「走る意味」:僕のドライブ体験

初めてS660でワインディングを走ったのは、春の終わり、まだ朝靄が残る山道だった。
ハンドルを切るたび、フロントタイヤがアスファルトを撫でるように曲がり、背中越しから聞こえるエンジンの咆哮が、まるで「もっと踏め」と囁いてくる。

カーブをひとつ、またひとつ抜けるたびに、クルマとの信頼関係が深まっていくのがわかる。
僕はステアリングで命令を出し、S660はその意図を正確に汲み取って、まるで“生き物”のように反応してくれる。

「走ること」って、こんなにも感覚的で、心を震わせるものだったか。
久しぶりにそう思えた瞬間だった。


● 街中でも、“軽さ”は自由になる

ワインディングだけじゃない。
S660の“軽さ”は、都市の生活にもよく馴染む。

通勤で使う狭い交差点。スーパーの立体駐車場。細い路地の曲がり角。
大きなクルマならヒヤリとするシーンでも、S660はまるでスニーカーのようにヒョイと動いてくれる。

特に気に入っているのは、屋根を開けて走るとき。
日差しが柔らかい午後、ちょっと遠回りして帰る。
流れる景色、すれ違う風、どこかの庭から漂ってくる沈丁花の匂い──

それら全部が、S660という“器”を通して、僕の感覚に届いてくる。

この瞬間、「クルマに乗ってる」んじゃなくて、「クルマと生きてる」って実感するんだ。


● もちろん、現実の「限界」もある

ただし、誤解しないでほしい。
S660は決して“万能”じゃない。
あくまで「走ることに特化した道具」だという割り切りが必要だ。

例えば──

  • 長距離ドライブは、正直キツい。
    車内の静粛性は低く、風切り音やロードノイズがダイレクトに耳に届く。
    高速道路を何時間も走ると、体も耳も疲れる。
  • 荷物はほぼ積めない。
    トランクと呼べるほどのスペースはなく、手荷物と最低限の着替えが限界。
    だからこそ僕は、旅の計画も“ミニマム”を意識するようになった。
  • 後方視界はタイトで、ルーフをつけると圧迫感もある。
    でもそれも、「このクルマには余計なものはいらない」と思えば納得できる。

● それでも、このクルマは「心のエンジン」を回してくれる

多少の不便さ。
多少の疲れ。
多少の妥協。

そういったものを全部受け入れた上で、S660と過ごす時間には、何物にも代えがたい“価値”がある。

クルマに乗る理由は人それぞれだ。
でも僕は、このクルマと出会って再確認した。

「速さ」だけじゃない。
「高級感」でもない。

“走る意味”が、この小さな2シーターには、確かにある。

誰かに見せびらかすためじゃない。
SNSで映える写真を撮るためでもない。
ハンドルを握ったとき、自分の鼓動とS660の鼓動が重なる。
──ただ、それだけで、人生は少し豊かになる。


S660は普段使い・通勤に使える?毎日乗ってわかった本音

結論を先に言う。S660の普段使い・通勤は「十分に可能」だ。狭い道や駐車場ではむしろ大きなクルマより気楽で、軽自動車ならではの維持費の安さも通勤車として理にかなっている。ただし「荷物の少なさ」と「乗り降りのしづらさ」だけは、毎日使うほど効いてくる。

僕も実際、通勤の足としてS660を使ってきた。その上で、向いている人・向いていない人を正直に分けるとこうなる。

使い方 S660との相性 注意点
片道30分程度の通勤 かなり良い 乗降性と荷物量に慣れが必要
街乗り・買い物 条件付きで良い まとめ買いは苦手。助手席を荷物置きにする前提
休日のドライブ 非常に良い 走ること自体が目的なら最高に楽しい
家族での移動 不向き 2人乗りなので用途が限られる
長距離高速移動 やや不向き 騒音・荷室・加速余力で疲れやすい
  • 通勤・普段使いに向いている人:通勤距離が片道30分程度まで/積む荷物はカバン1つ/一人または二人での移動が中心/運転そのものを楽しみたい人。
  • 向いていないかもしれない人:まとめ買いや子どもの送り迎えが多い/毎日長い高速通勤/腰や膝に不安があり低い乗降が辛い人。

地味に効くのは乗降性だ。車高が低く着座位置も低いので、毎朝スーツで「よっこいしょ」と沈み込む動作に慣れが要る。
逆に言えば、それさえクリアすれば、渋滞の多い街中ほどS660の小回りと軽さが武器になる。
筆者としては、「通勤を“移動”から“楽しみ”に変えてくれる稀有な軽」だと感じている。退屈だった毎朝のルートが、ちょっとした峠越えのように楽しくなるのだ。

もうひとつ、通勤で使うなら頭に入れておきたいのが収納の工夫だ。フロントの小さなスペースとシート後方のわずかな隙間を活かし、薄型のビジネスバッグやソフトタイプのリュックを選ぶと、毎日の積み下ろしが一気に楽になる。ハードケースより布製、という発想に切り替えるだけで、S660の普段使いは驚くほど現実的になる。

もう少し具体的に、毎日乗って気づいた“普段使いの小さな弱点と対策”を挙げておく。これは検索ではなかなか出てこない、所有してこそ分かる話だ。

  • 夏の車内温度:ボディが小さく屋根が薄いぶん、真夏は車内が熱くなりやすい。エアコンの効きは十分だが、サンシェードは必携だ。
  • 視点の低さ:周囲がSUVだらけだと、最初は車間や信号が見づらく感じる。ただ慣れると、低い視点ならではの“路面と一体になる”感覚が癖になる。
  • コンビニ・買い物:500mlのペットボトルやお弁当くらいなら問題ないが、まとめ買いは助手席が荷台になる。一人通勤なら、これがむしろ気楽でもある。
  • 雨の日:ロールトップの扱いに慣れるまでは少し面倒。出先で屋根を外すなら、天気予報を必ず確認したい。
  • 駐車場:車体が小さいので停めやすい一方、低すぎて隣の車から見落とされやすい。ドアパンチ対策として端の枠を選びたい。

総じて、「通勤に s660 はアリか?」という問いへの僕の答えは“条件付きで大いにアリ”だ。荷物と人数の制約さえ生活と噛み合えば、毎朝の運転が小さなご褒美に変わる。これは大型ミニバンでは絶対に得られなかった感覚だった。


S660で長距離はしんどい?高速・ロングドライブの現実

結論から言えば、S660の長距離は「不可能ではないが、快適ではない」。日帰り〜1泊程度のドライブなら全く問題ないが、何時間も高速を流し続けるグランドツーリングには明確に不向きだ。これは弱点というより、走りに全振りした設計の“代償”である。

長距離で気になるポイントを整理しておく。

  • ロードノイズと風切り音:遮音材を切り詰めた軽量ボディなので、高速巡航では会話の声を少し張る必要がある。
  • 追い越し加速の余裕:64馬力ゆえ、上り坂や追い越しでは早めのシフトダウンが前提。流れに乗るぶんには困らないが、ゆとりはない。
  • 荷室の少なさ:1泊2日でもパッキングは“ミニマル”が基本。大きなスーツケースは想定外だ。
  • シートと姿勢:スポーツ志向の着座姿勢なので、長時間だと体が固まる人もいる。こまめな休憩が吉。
  • 燃料タンク容量:タンクが小さめなので、長距離では給油回数が多めになる。これも“細切れ走行”が前提になる理由のひとつだ。

長距離を少しでも快適にするコツとしては、2時間に一度の休憩を“前提”にした行程を組むこと。S660は短いステージを区切って走るほど機嫌が良くなるクルマだ。一気に距離を稼ごうとせず、SAやPAごとに目的地を細切れにすると、疲労も体感の退屈さも一気に減る。

さらに実用的なコツを足すなら、高速巡航では無理に最高速を狙わず、エンジンが気持ちよく回る回転数をキープすること。S660は「飛ばすため」ではなく「回す喜びを味わうため」のクルマだ。流れに乗って淡々と走ると、不思議と疲れも軽くなる。耳栓代わりの音楽より、むしろ排気音を“BGM”にしてしまうと長旅も楽しめる、というのが僕の実感だ。

とはいえ、僕にとって長距離の“疲れ”は、必ずしもマイナスではなかった。
SAでコーヒーを飲んで一息つき、また走り出す——その区切りこそ、S660という相棒との旅らしさだと思っている。速く遠くへ運ぶ道具ではなく、走る時間そのものを味わう相棒。それがこのクルマの長距離との付き合い方だ。


S660の軽量化はどこまで?「軽量化の限界」を考える

先に答えを示す。S660はノーマルでも約830〜850kgと十分に軽く、ここからの軽量化の“限界”は、快適・安全装備とのトレードオフで決まる。つまり「物理的にどこまで削れるか」ではなく、「公道で実用に使える範囲でどこまで攻めるか」が現実的な限界点になる。

サーキット志向のオーナーが行う軽量化の代表例を挙げておく(あくまで一般的な傾向で、車検適合や安全性は必ず専門ショップに確認してほしい)。

  • 軽量ホイールへの交換:バネ下重量を減らすと、加速・操舵レスポンスへの体感効果が大きい。
  • 軽量バッテリー:定番のメニュー。ただし容量とのバランスに注意。
  • 内装の最小化:マットや遮音材を外す方向だが、ここを攻めるほど普段使いの快適性は確実に下がる。
  • 軽量シートへの交換:フルバケットシートは軽さと保持性を両立できるが、乗降性と快適性は犠牲になりやすい。

順番として効率がいいのは、「バネ下(ホイール・タイヤ)→ 回転部品 → 内装」の流れだ。バネ下の軽さは体感が大きく、リスクも小さい。一方で内装を剥がす方向は、得られる速さに対して失う快適性が大きく、普段使いと両立させたいなら最後に回すべき領域だと考えている。

ここで「軽量化の限界」を3段階で整理すると、判断しやすい。

  • 第1段階(おいしい領域):軽量ホイール・タイヤ。体感が大きく、快適性の損失はほぼゼロ。公道メインならここで十分。
  • 第2段階(要検討の領域):バッテリー・小物の見直し。効果は限定的だが、リスクも小さい。
  • 第3段階(限界の領域):内装剥がし・防音材撤去・フルバケ化。ここから先は「速さと引き換えに日常を捨てる」ゾーン。サーキット専用に割り切れる人だけが踏み込むべきだ。

ここが「軽量化の限界」の本質だ。削れば削るほど速さに近づくが、同時に日常の快適さと静かさを失っていく。
筆者としては、S660の軽量化は“限界まで攻める”より、ホイールなど効果の高い部分に絞るのが、公道メインのオーナーには一番おいしいと考えている。すでに軽いクルマを欲張って削るより、その軽さを「活かす」方向のチューニングの方が、結果として満足度が高い。

もう一つ大事な視点を加えるなら、軽量化より先に“足まわりのセッティング”を見直す方が体感が変わることが多い、という点だ。すでに軽い車体だからこそ、数kgを削る労力よりも、タイヤの空気圧やアライメント、ダンパーの調整の方が走りへの効果は大きい場合がある。重さを減らすより、すでにある軽さを正しく使う——これがS660という素材を活かす近道だと思う。


4. 中古で買うならここに注意:価格・状態・維持コスト

S660は2022年3月をもって生産終了しており、中古車しか購入の選択肢がない。だからこそ、以下の点をチェックしておきたい。

  • 価格相場:モデル・グレード・走行距離・状態・限定色などで差が大きい。最新モデルや特別仕様の「Modulo X」「Version Z」はプレミアがついていることも。
  • 維持費の目安

    ・自動車税(軽) → 年間約10,800円
    ・任意保険 → 年齢・等級によるが、おおよそ 5〜8万円/年が目安
    ・車検・重量税等 → 2年に一度で、部品交換や整備によっては+で掛かることあり。年換算では車検コストを含めて約5万円前後。
    ・燃料代 → 年間走行距離・燃費によって大きく変動。6MTとCVTで若干差あり。

  • 状態・修復歴:事故履歴・水没・オープントップ部分の防水性などをチェック。時間が経つにつれ防水パッキン、ルーフのロック機構などに劣化がある個体があるという声。
  • 部品供給:生産終了モデルゆえに、純正部品が入手困難になものが出てくる可能性もある。アフターパーツ・リプロ品の確認が必要。
  • 走行距離と消耗品:タイミングベルトやサスペンション、足まわりなどは、走り系の使い方をしている個体では交換歴をよく確認。

補足すると、S660の中古相場は生産終了以降、希少性から下がりにくい傾向にあると言われている。良質な低走行車やMT・限定グレードは特に動きが早い。
ただし価格は時期や個体で大きく変動するため、最新の相場は必ず複数の販売店・中古車サイトで確認するのが安全だ。焦って状態の悪い個体に飛びつくより、信頼できる業者で“当たり”を待つ方が、結果的に満足度は高いと筆者は考える。

個人的に「買って後悔しにくい個体」の条件を挙げるなら、整備記録簿がそろっている/屋根まわりの動作と防水に異常がない/極端なローダウンや過激な改造がされていない——この3点だ。ノーマルに近い素性のいい個体ほど、買ったあとに自分の好みで仕上げる余地が残る。中古のS660選びは、速さよりまず“健康診断”が先だと思っておくといい。

試乗チェックの実践的なコツも添えておく。屋根を実際に開け閉めしてロック機構の渋さや異音を確かめる、低速でハンドルを左右に切って異音やガタを確認する、エンジン始動直後の冷間時にアイドリングが乱れないか聞く——この3つは、納車後のトラブルを大きく減らす“地味だが効く”確認だ。生産終了車だからこそ、契約前のひと手間が後悔を防ぐ。


5. S660比較:コペンと比べて何が違う?

特に僕がよく比較したのは、「ダイハツ コペン」と「S660」。どちらも軽2シーターの代表格だが、性格はかなり違う。結論から言えば、走りの純度ならS660、日常の使いやすさならコペンだ。

比較項目 S660 コペン
駆動方式 MR(ミッドシップ) → 振り回し・コーナリングの楽しさ重視 FF。扱いやすく、日常域で気楽に乗りやすい
走りの感覚 低重心で回頭性が鋭い。ドライバー中心の設計 オープンの気軽さと街乗りの親しみやすさが魅力
車高・重心 やや低めで重心が安定。見た目のシルエットもスポーツカー感あり 頭部空間・乗降性・居住性で余裕がある
ルーフ開閉機構 手動のロールトップ → 軽さと構造のシンプルさがあるが、手間あり 電動開閉式があるモデルがあり、多くのシーンで使いやすい
荷物・収納性 極めて限定的。リアはエンジン配置、トランクほぼ無し。前スペースに最小限 ルーフ状態によって制限はあるが、S660より日常使いしやすい
維持コスト 軽の税制・保険優遇などメリットあり。燃費は使用方法次第 維持費も抑えられるが、電動機構やルーフの可動部など維持の手間が増える可能性あり

この比較から僕は、「走ること」を重視する日にはS660が選択肢として強いと感じた。もし「快適さ」「利便性」「広さ」を優先するならコペンも魅力的。

ざっくり言えば、走りの純度ならS660、普段使いの実用性ならコペンという棲み分けだ。
2シーターの軽スポーツで「曲がる楽しさ」「クルマと対話する感覚」を最優先するなら、筆者は迷わずS660を推す。逆に、屋根の開閉の手軽さや積載を重視するなら、コペンの完成度も無視できない。

もう一段かみ砕くと、選びの分かれ目は「クルマを操る感覚に金を払えるか、日常の便利さに金を払うか」に集約される。週末に峠やワインディングへ出かけ、運転そのものをイベントにしたい人はS660。屋根をワンタッチで開けて買い物やデートに気軽に使いたい人はコペン。どちらが上ということではなく、ライフスタイルがそのまま答えになる。

選び方をひと言でまとめるなら、「週末に走りを味わいたいならS660、屋根を開けて気軽に毎日乗りたいならコペン」。どちらも“ホンダ 2シーター 軽”あるいは“ダイハツ 2シーター 軽”という希少ジャンルの主役であり、優劣ではなく性格の違いで選ぶのが正解だと思う。


S660を手放した理由として多いのは?後悔しない選び方

結論から言うと、S660を手放した理由として多いのは「荷物が積めない」「家族が増えた」「長距離がしんどい」「2台持ちの維持」といった、走りへの不満ではなくライフステージの変化だ。つまり「クルマがダメだったから」ではなく、「生活が変わったから」というケースが目立つ。

よく聞く手放し理由を整理してみる。

  • 荷物・人数の問題:子どもが生まれた、家族で出かける機会が増えた——2人乗りでは物理的に難しくなる。
  • 長距離・通勤負担:通勤や帰省で高速を多用するようになり、静粛性や荷室に不満が出る。
  • 2台目としての維持:「楽しいけれど出番が減った」「もう1台と維持費が二重になる」という現実。
  • 乗降のしづらさ:年齢や体の事情で、低い乗り降りが負担になってきた。
  • 生活圏の変化:引っ越しや職場変更で高速移動や悪天候時の使用が増え、S660の割り切りが負担になる。

逆に言えば、これらは購入前にあらかじめ想定できる項目ばかりだ。
だからこそ、買う前に「自分の生活でこの2シーターをどう使うか」を具体的に描いておけば、手放す確率は下げられる。S660は“1台で全部こなす万能車”ではなく、“走りを楽しむための割り切った相棒”——この前提さえ共有できていれば、後悔は少ないと筆者は考えている。

後悔しない選び方を、僕なりに具体的なチェックリストにするとこうなる。買う前にこの問いに正直に答えられれば、「手放した理由」のほとんどは先回りで避けられる。

  • 家族構成は今後2〜3年で変わりそうか?——変わりそうなら、1台目ではなく趣味の2台目として位置づける。
  • 普段の荷物は本当にカバン1つで足りるか?——まとめ買いが多いなら、買い物専用の足を別に持てるか考える。
  • 高速を使う頻度はどれくらいか?——毎日長距離なら、通勤は別車にしてS660を週末専用にする手もある。
  • 低い乗降姿勢を楽しめるか?——最初は新鮮でも、毎日になると負担に感じる人もいる。
  • 不便さを“味”として受け入れられるか?——ここに頷ける人ほど、S660との相性は良い。

もうひとつ付け加えると、手放した人の多くが口にするのが「売ったあとに後悔した」という声だ。希少性ゆえに同じ条件の個体を再び探すのは難しく、相場も下がりにくい。だからこそ、生活が一時的に忙しいだけなら“すぐ売る”より“しばらく寝かせる”という選択肢も、後悔を避ける現実的な手だと感じている。

僕の考えでは、S660を手放すか迷ったときに一番大切なのは「最近乗っていない理由」を見極めることだ。単に忙しくて乗れていないだけなのか、それとも生活に本当に合わなくなったのか。この違いは大きい。前者なら、売ったあとに寂しさが来る。後者なら、次のオーナーへ渡すことも前向きな選択になる。


S660の後継モデルは出る?最新の動向を整理

はっきり書いておく。2026年6月時点で、S660の正式な“直接後継車”は発表されていない。軽スポーツの新型として確定したモデルは存在しない、というのが現状の正確な答えだ。

一方で、ホンダはカーボンニュートラル戦略の中で将来のスポーツモデル投入に言及しており、コンパクトなスポーツEVの開発が噂されてきた経緯がある。これらを「S660の後継では」と関連づける見方もあるが、現時点ではあくまで構想・噂のレベルで、軽自動車規格の直接後継として確約された情報ではない。

つまり整理するとこうだ。

  • 軽規格の正式な直接後継:現時点で未発表
  • 将来のスポーツモデル構想:ホンダが言及しているが、内容・時期は流動的。
  • 小型スポーツEVの噂:報道はあるが、S660後継と確定したものではない。

ここで現実的な視点を加えておく。仮に将来「軽の電動スポーツ」が登場したとしても、それがS660と同じ味になるとは限らない。ガソリンターボのMR、手動ロールトップ、64馬力を回し切る感覚——この組み合わせは、規制や電動化の流れの中で再現が難しくなりつつある。だからこそ「後継待ち」と「現行S660の購入」はまったく別の選択肢として考えるべきだ、というのが筆者の見方だ。

後継の有無は今後の公式発表次第なので、断定せず最新情報はホンダ公式や信頼できる自動車メディアで確認するのが確実だ。
筆者としては、後継を待ち続けるより「今、現存するS660という完成された一台」と向き合う方が幸せだと感じている。仮に後継が出たとしても、ロールトップとガソリンターボのこのMR軽が持つ味は、おそらく二度と再現されない。それ自体が、S660を“今選ぶ価値”でもある。


6. 結論:僕がS660を選んだ“走る意味”

エンジン音で、胸が高鳴る感覚。
ステアリングを握った瞬間、世界が静まり返るような集中力。
「ただの移動」じゃない。「走ること」そのものが、自分を取り戻す儀式になる。

──そんな感覚、いつから忘れてしまったんだろう。

社会人になって、家庭を持ち、生活を支えるために選んだのは、荷物が積めて、燃費が良くて、どこにでも行けるミニバンだった。もちろん、それは「便利」だった。でも、あの頃の僕が憧れていた「走る歓び」は、そこにはなかった。

だからある日、思い切ってハンドルを切った。

選んだのは、ホンダ S660
2シーター、ミッドシップ、64馬力──軽自動車規格ギリギリのスポーツカー。

スペックだけ見ると、物足りなく感じる人もいるかもしれない。でも、僕はこの小さな車体に宿る「魂」に惹かれた。


クルマは、感じるための“相棒”だ

エンジンの鼓動が背中越しに響いてくる。
シフトを入れるたび、右腕に「次の一手をどうする?」と問いかけられているような感覚がある。
コーナーに差し掛かれば、タイヤが路面をつかむ手応えが、ステアリングを通して確かに伝わってくる。

そう、S660は、クルマがまだ“生きている”と感じさせてくれる数少ない一台だった。

「走るためのパートナー」として、S660はいつでも真剣勝負を挑んでくる。そのレスポンスの速さ、重心の低さ、ミッドシップならではの回頭性。どれも、僕の“走りたい”という欲求を思い出させてくれた。


維持費が現実的だからこそ、夢を追える

スポーツカーというと、「金がかかる」というイメージがつきまとう。確かに、かつてのGT-RやZなど大排気量車両は維持するだけで精一杯だった。だけど、S660は違う。

  • 自動車税は年間10,800円。
  • 保険も軽クラスなら大きな負担にはならない。
  • 燃費もリッター20km近く走ってくれる。
  • タイヤも14〜15インチで交換コストは手頃。

趣味として付き合える。
「非日常」を味わえるスポーツカーでありながら、日常に溶け込むだけの維持性を持っている。

このバランスの妙が、S660の“本当の強さ”だと、僕は思う。


生産終了──希少性は、誇りになる

2022年、S660は静かに生産終了となった。

理由はいくつかある。安全基準、販売台数、コストパフォーマンス……でも、それでも惜しまれるモデルだった。SNSでは「最後に乗っておきたい一台」として多くの人が反応し、最終限定モデルのVersion Zは即完売した。

今やS660は、中古車市場でしか出会えない。
それは同時に、「この一台を選んだ人だけが感じられる価値」があるということだ。

誰かに見せびらかすためではない。
自分の内側を満たすための、“自己満足の極み”としての相棒。

それで、いいじゃないか。


そして今、僕はこう思う

クルマを使って「どこへ行くか」ではなく、クルマと一緒に「どんな時間を過ごすか」が大事なのだと。

朝の通勤路、休日の峠道、夕暮れの海岸線。
S660に乗っていると、すべての時間が「走っている」と言える。
その瞬間、自分の存在がただのサラリーマンでも、父親でもなく、「クルマを愛する一人の人間」に戻れる気がするんだ。


もしあなたが今、「なんとなく物足りない」と感じているなら──
もし、心が動くような体験を、日常にもう一度取り戻したいなら──

僕は迷わずこう言う。

その鍵は、小さなスポーツカーの中にあるかもしれない。
そしてその一台が、S660であっても、不思議じゃない。


考察:S660の価値は「便利さの外側」にある

ここまで書いてきて、あらためて思う。S660というクルマは、現代のクルマ選びの基準から見ると、かなり不利な存在だ。荷物は積めない。2人しか乗れない。屋根は手動。長距離は疲れる。便利さを点数化すれば、高得点は取りにくい。

それでもS660が忘れられない一台として語られるのは、便利さとは別の場所で人の心を動かすからだ。

僕は、S660を「軽スポーツ」ではなく、軽自動車規格で成立した小さなドライビング装置だと見ている。移動の効率を上げるための道具ではなく、運転という行為を濃く味わうための装置。だから、数字だけで比較すると魅力がこぼれ落ちる。

たとえば64馬力という数字だけを見れば、現代のスポーツカーとしては控えめだ。だが、その64馬力を自分の右足で使い切れること、シフト操作で引き出せること、車体の軽さで受け止められることに意味がある。速すぎるクルマでは味わえない“全開にできる幸せ”が、S660にはある。

また、手放した理由として語られる弱点も、見方を変えればS660の個性だ。荷物が載らないから、旅の持ち物を削る。2人しか乗れないから、誰と乗るかを考える。長距離が疲れるから、休憩を挟みながら道中を味わう。便利なクルマなら見過ごしてしまう小さな選択が、S660ではひとつひとつ意味を持つ。

筆者としては、S660を買うか迷っている人に「誰にでもおすすめ」とは言わない。むしろ逆だ。家族の足が1台だけ必要な人、荷物をたくさん積みたい人、高速道路を淡々と長く走る人には、もっと向いたクルマがある。

けれど、運転そのものにもう一度意味を見つけたい人。大きなパワーではなく、車体の反応やタイヤの接地感を味わいたい人。便利さではなく、心の温度が上がる瞬間を求めている人。そういう人にとって、S660は今でも強烈な答えになる。

クルマがどんどん安全で静かで快適になっていく時代に、S660のような不便で濃いクルマは、今後さらに希少になるだろう。だからこそ、後継モデルを待つだけではなく、いま残っている個体とどう向き合うかが大切になる。

僕はS660を、速さの頂点にいるクルマだとは思わない。だが、走る意味を思い出させるクルマとしては、非常に完成度が高いと思う。小さく、軽く、割り切っていて、だからこそ濃い。そんなクルマは、もう簡単には生まれない。


まとめ:S660は「軽じゃない」軽の最終回答だった

S660は、軽自動車という規格の中に、ミッドシップ+後輪駆動という本格スポーツの骨格を詰め込んだ稀有な一台だ。だから多くの人が「軽じゃない」と呼ぶ。

普段使いや通勤は工夫次第で十分にこなせる一方、長距離と荷物には割り切りが要り、それが手放す理由の大半を占める。軽量化はホイールなど効果の高い部分に絞るのが公道では賢く、後継モデルは2026年6月時点で未発表——だからこそ、いま現存するこの一台と向き合う価値は、むしろ年々高まっている。

スペックや利便性の数字では語り尽くせない“走る意味”が、この小さな2シーターには確かに宿っている。


FAQ(よくある質問)

Q1. S660の燃費は実際どれくらい?
A1. カタログ値から実走行を割り引くと、6MTモデルでおおむね 約18〜20 km/L、CVT の場合はやや悪くて 約15〜18 km/L前後という報告が多い。使用条件(街乗り・峠・高速)次第で変動する。

Q2. 屋根は完全オープンになるの?防風・騒音はどう?
A2. ロールトップ方式で、屋根を外すには手動でロックを外し、幌を巻き取って前方のスペースに収納する必要がある。完全な電動開閉式とは異なるので、その分、防風・雨漏り・騒音でストレスを感じるシーンがある。

Q3. MT と CVT のどちらがいい?
A3. 僕はMT推し。シフトチェンジで自分がクルマを“操ってる”という実感が強いから。でもCVTの方が取り回し・渋滞でのストレスは少ない。コストと好みで選ぶべきで、燃費差・維持コスト差も年で数千円〜1万円レベルにとどまることが多い。通勤メインならCVT、走りを味わいたいならMT、という選び方が無難だ。

Q4. ホンダS660は本当に「軽じゃない」の?
A4. 規格上はれっきとした軽自動車(黄色ナンバー・660cc)だ。ただし駆動方式がミッドシップ+後輪駆動で、専用設計のボディと低い重心を持つため、走りの質が一般的な軽の枠を超えている。だから「軽じゃない」と呼ばれる——これはナンバーや排気量の話ではなく、走りへの賛辞だと考えていい。

Q5. S660は通勤・普段使いに本当に使える?
A5. 使える。片道30分程度の通勤、荷物はカバン1つ、一人または二人の移動が中心なら十分実用的だ。むしろ小回りが利き、軽の維持費も安いので通勤車として理にかなっている。弱点は荷物の少なさと低い乗降性なので、薄型バッグを選ぶ・乗り降りに慣れる、という工夫でカバーできる。

Q6. S660の軽量化はどこまでできる?限界は?
A6. ノーマルでも約830〜850kgと軽いため、軽量化の限界は「物理的にどこまで削れるか」ではなく「快適・安全装備をどこまで諦められるか」で決まる。公道メインなら、効果が大きくリスクの小さい軽量ホイールを中心に絞るのが現実的な落としどころだ。内装を剥がす方向は速さより快適性の損失が大きいので、優先度は低い。

Q7. S660を手放す人が多いのはなぜ?
A7. 走りへの不満ではなく、ライフステージの変化が大半だ。「家族が増えて2人乗りでは足りない」「荷物が積めない」「長距離通勤がしんどい」「2台持ちの維持費」——いずれも購入前に想定できる項目なので、用途を具体的に描いてから買えば後悔は減らせる。

Q8. S660の後継モデルは出る?
A8. 2026年6月時点で、軽規格の正式な直接後継は発表されていない。ホンダは将来のスポーツモデルやコンパクトなスポーツEVに言及しているが、いずれも構想・噂のレベルで、S660の後継と確定したものではない。最新情報はホンダ公式や信頼できる自動車メディアで確認するのが確実だ。

Q9. S660で長距離はどのくらいまで耐えられる?
A9. 日帰り〜1泊2日程度なら十分こなせる。何時間も高速を流し続けるロングツーリングでは、ロードノイズ・荷室の少なさ・加速の余裕のなさが効いてくるため、2時間ごとの休憩を前提に行程を細切れにするのがコツだ。「速く遠くへ」より「走りを味わう」前提なら、長距離も相棒との旅になる。

Q10. S660とコペンはどちらを選ぶべき?
A10. 走りの純度やミッドシップならS660、屋根の開閉や日常の使いやすさならコペンが向いている。週末のワインディングを楽しみたいならS660、街乗り中心で気軽にオープンを味わいたいならコペン、という選び方が分かりやすい。

Q11. S660は1台持ちでも困らない?
A11. 一人暮らしや夫婦2人で荷物が少ない生活なら可能だが、家族の送り迎えや大きな買い物が多い人には不向きだ。S660は1台ですべてをこなす万能車ではなく、用途を絞るほど満足度が上がるクルマだ。

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