S660で後悔しない選び方|手放す前に考えたい不便・荷物・中古車の注意点

ホンダS660の公式写真を参考に制作したAI生成イメージ ホンダ
公式の実車画像を参考に制作したAI生成イメージ

S660を買って後悔しないために、最初に確かめたいのは馬力ではない。2人分の席と限られた収納で、自分の生活が成り立つかどうかだ。2022年3月に生産を終えたこの軽スポーツは、中古車として選ぶ今も、便利さと引き換えに何を得たいかを問いかけてくる。

ここでは「手放した理由」を集計したかのように語るのではなく、Hondaの公式資料で確認できる構造から、購入前に調べるべき不便と魅力を整理する。情報確認は2026年9月29日。筆者による所有・試乗・実測レポートではない。

アイキャッチは、公式の実車画像を参考に制作したAI生成イメージです。実際の試乗写真ではなく、細部や色の正確な確認にはメーカーの写真をご覧ください。

S660で後悔につながりやすいのは、生活とのすれ違い

S660は2人乗りだ。後席を倒して荷物を積むことも、急に3人で移動することもできない。普段は一人で使うから大丈夫と思っていても、雨の日の送迎や、買い物と同乗が重なる日に困らないかを考えたい。

検討する場面 購入前に確かめること 橘の見方
一人で通勤 通勤鞄の置き場、乗降、渋滞時の操作 毎日の荷物を持って現車へ行く
二人で日帰り 二人分の荷物をどこへ置くか 助手席を荷物置き場として数えない
屋根を開ける休日 外したロールトップの収納と荷物の両立 オープン時の状態で確認する
家族の唯一の車 3人以上で移動する別の手段 二人乗りの制約は装備で解決できない
中古で長く所有 整備記録、修理見積もり、保証 購入額だけで予算を使い切らない

これは実際の売却理由の順位ではなく、車の仕様に基づく確認項目だ。「オーナーの大半が不便さで手放す」と裏付けなく決めつけることはできない。

僕は、好きな車を選ぶときほど、好きだけでは解決できない場面を先に挙げるべきだと思う。その作業は夢を壊すためではない。手に入れたあと、その車を嫌いにならずに済むためだ。

「軽じゃない」と感じさせる理由と、軽自動車である事実

S660は軽自動車規格の車であり、排気量や車体区分が普通車になるわけではない。そのうえで設計の特徴は鮮明だ。エンジンを乗員の後方に置き、後輪を駆動するMRレイアウトを採用している。

Hondaは発売時に、前後重量配分45対55や低重心、専用ボディーによって旋回性能を追求したと説明している。ここで大事なのは、最高速を競うための数字として読むことではない。小さな車体で、運転操作を楽しむことに設計資源を注いだ車なのだと理解することだ。Honda・2015年発売時の開発概要

2020年1月発表モデルの主な仕様 内容
全長×全幅×全高 3,395×1,475×1,180mm
定員・駆動 2人・MR
エンジン 0.66L直列3気筒ターボ
最高出力・最大トルク 64PS・104N・m
変速機 6MT/CVT
車両重量(α・β) 6MT 830kg/CVT 850kg
WLTC燃費(α・β) 6MT 20.6km/L/CVT 20.0km/L

諸元は年式・仕様をそろえて読む必要がある。上表の燃費は国の試験条件による値で、実燃費ではない。Modulo Xなどの仕様差も、購入候補車の資料で確認したい。Honda・S660主要諸元

荷物は「容量」より、二人乗った状態で考える

S660の公式収納案内には、グローブボックス、コンソールポケット、助手席のシートバックポケットなどが示されている。これらは身の回りの物を整理する場所で、大きな旅行鞄を積める後部トランクの代わりにはならない。Honda・室内収納

購入前には、いつもの鞄を販売店へ持参し、許可を得て置いてみよう。財布や鍵が入るかという話と、上着、傘、仕事道具まで収まるかという話は別だ。運転席の足元やペダル周辺を荷物置き場にしてはいけない。

屋根を開けるなら、外したロールトップを収納した状態も確認する。Hondaは脱着式ロールトップを採用しているが、取り外しを楽しめるか、雨が来たときの作業に納得できるかは人によって違う。電動で屋根が開く車と同じつもりで買うと、期待とのずれが生まれる。

僕なら、試しに座った瞬間の高揚感だけで決めない。屋根を閉じ、同乗者に座ってもらい、荷物を置き、乗り降りする。その地味な確認を一周してから、もう一度ボディーを眺める。

6MTかCVTか。希少性より、自分の使い方を優先したい

6MTは変速操作そのものを楽しみたい人に向く選択肢だ。CVTにもパドルシフトが備わる。AT限定免許や渋滞の多い通勤、家族との共用を考えるなら、CVTを妥協と呼ぶ必要はない。

中古車の価格差は、変速機だけでなく、年式、走行距離、修復歴、保証、特別仕様の有無で変わる。「MTなら将来必ず高く売れる」という前提で無理をするより、同条件の複数車両で支払総額を比べる方が判断しやすい。

2022年3月時点のメーカー掲載価格は、αが232万1,000円、βが203万1,700円だった。いずれも税込の新車当時の参考価格で、現在の中古相場を示すものではない。古い新車価格と中古車の支払総額を、そのまま比べないようにしたい。Honda・最終期のタイプと価格

中古S660の現車確認で外したくない5項目

  1. 年式・グレード・変速機を車検証や販売資料で照合し、純正状態からの変更点を確認する。
  2. 整備記録を読み、オイル類、タイヤ、ブレーキなど次の整備にかかる費用を見積もる。
  3. ロールトップや周囲のゴム、室内の濡れ跡などを販売店と確認し、不明点は点検を依頼する。
  4. 修復歴の説明と保証の対象・期間を確認する。改造部品がある場合は、その部品と関連部分の扱いも聞く。
  5. 車台番号でリコール等の対象と実施状況を調べる。外観がきれいなことと整備済みであることは同義ではない。

不具合を自分だけで判定する必要はない。販売店の説明を記録し、必要なら整備士に点検を依頼する。軽自動車だから整備も一律に安い、という思い込みを捨てておく方が安心だ。Honda・リコール等情報

S660を選ぶべき人、別の車も比べたい人

日常の移動と荷物の条件を満たしたうえで、小さなMRオープンスポーツを持つこと自体に価値を感じる人。S660は、そんな人の候補に残る。一方、後席、広い荷室、頻繁な送迎が必要なら、その条件を満たす車も同時に比べたい。

生産終了は2022年3月。今の購入判断は、当時の新車カタログの魅力と、目の前の中古車の状態を分けて行う必要がある。Honda・S660製品アーカイブ

速さの数字で勝つ車だけが、心に残るわけではない。二つの席と小さな車体に何を求めるか。その答えが自分の生活と重なるなら、S660は今でも十分に考える価値のある一台だ。

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