新型プレリュードの燃費性能はどれくらいか。結論から言えば、WLTCモードで23.6km/L、高速道路の実測テストでも21.1km/Lという、本格派グランドツアラー(GT)としては異例の数値を叩き出しています。
約620万円という価格に見合う走りの質感と、ハイブリッド採用によって劇的に抑えられる維持費。
それは、かつてスポーツカーに夢中になった大人たちが、もう一度ステアリングを握るための最適な最適解かもしれません。
本記事では、新型プレリュードの燃費性能の詳細から、ハイブリッドシステムがもたらす新しい走りの歓び、そして維持費のリアルについて、徹底的に紐解いていきます。
新型プレリュードの燃費はどれくらい?カタログ値と実測値の真実
スポーツカーやGTカーといえば、燃費の悪さには目をつぶるのが暗黙の了解でした。
私自身、かつて身を削るようにフルローンで手に入れたR32スカイラインGT-Rでは、ガソリンメーターの針が目に見えて下がっていくことに冷や汗をかきながら走ったものです。
しかし、時代は変わりました。
ホンダが放つ新世代のGT、新型プレリュードは、走りの楽しさと環境性能を高い次元で両立させています。
カタログスペックであるWLTCモード燃費は、堂々の23.6km/L。
2.0L直列4気筒エンジン(141ps/182Nm)と、高出力モーター(184ps/315Nm)を組み合わせたハイブリッドシステムが、この数値を実現しています。
しかし、読者の皆さんが本当に知りたいのは「実際のところ、どうなのか?」という実測値でしょう。
一般的に、ストロングハイブリッド車は街中などの低中速域での燃費向上を得意としており、高速道路の巡航では燃費が伸び悩む傾向にあります。
ところが、自動車専門メディアの実測テスト(東名川崎インターから新東名・新秦野インターまでの往復約100km、90km/h巡航)では、驚くべき結果が出ました。
ゆるやかな上り坂を含んだ往路で19.8km/L、復路で22.8km/L、総合でなんと21.1km/Lをマークしたのです。
高速道路を余裕で20km/Lオーバーで巡航できるGTクーペなど、これまで存在したでしょうか。
大排気量エンジンを積んだ従来のGTカーであれば、高速燃費はせいぜい10〜15km/Lといったところ。
新型プレリュードは、これまでの常識をあっさりと覆してしまったのです。
燃費が良いということは、単に財布に優しいというだけではありません。
給油のために立ち止まる回数が減り、どこまでも走り続けられる「自由」を手に入れることを意味します。
週末のロングツーリング。気が向けば県境を越え、見知らぬ土地の風を感じる。
そんなグランドツアラー本来の目的を、ガソリン残量を気にすることなく純粋に楽しめる。それこそが、この燃費性能の最大の価値なのです。

ハイブリッド採用で維持費はどう変わるのか?
クルマを所有する上で、決して避けては通れないのが「維持費」という現実です。
私も若い頃、S15シルビア spec Rのローンとガソリン代、そしてタイヤ代に給料のほとんどをつぎ込んでいました。
絶対的な速さや刺激には、相応の覚悟と対価が必要だった時代です。
しかし、新型プレリュードが提示するのは、そうした「我慢」とは無縁のスマートなカーライフです。
ハイブリッドシステムを採用したことで、日々のガソリン代は劇的に圧縮されます。
仮に月間1,000km走るとして、実燃費を20km/L、ガソリン価格を170円/Lと仮定しましょう。
ひと月のガソリン代はわずか8,500円。年間でも約10万円強に収まります。
これがもし実燃費10km/Lの旧来のスポーツカーであれば、ガソリン代は単純に倍の年間20万円以上。この差は決して小さくありません。
浮いた燃料費で、少し遠くの温泉宿に足を伸ばすのもいいでしょう。
あるいは、大切な人との食事を楽しむのもいい。
クルマが生活を圧迫するのではなく、生活を豊かにするためのツールとして機能する。それが現代のGTカーに求められる姿です。
項目 新型プレリュードのスペック
パワートレイン 2.0L 直4 DOHC+モーター (ハイブリッド)
エンジン最高出力 104kW (141ps) / 6000rpm
エンジン最大トルク 182Nm (18.6kgm) / 4500rpm
モーター最高出力 135kW (184ps) / 5000~6000rpm
モーター最大トルク 315Nm (32.1kgm) / 0~2000rpm
WLTCモード燃費 23.6km/L
駆動方式 FF
車両重量 1460kg
価格 617万9800円 (税込)
さらに、環境性能の高さは税制面でも有利に働く可能性があります。
ハイブリッド車は重量税や自動車税のエコカー減税の対象となりやすく、ここでも維持費の抑制に貢献します。
617万9800円という車両本体価格は、決して安い買い物ではありません。
しかし、数年間所有した場合のトータル・コスト・オブ・オーナーシップ(TCO)を計算すれば、その価値は十分に価格に見合う、いや、それ以上のものであると納得できるはずです。
「ホンダ S+シフト」とは?操る歓びを再定義する新機構
「ハイブリッド車は燃費がいいけれど、運転して退屈だ」
そんな固定観念を抱いているクルマ好きは少なくないでしょう。
かつての私がそうであったように、エンジンの回転が高まり、パワーが盛り上がっていくあの感覚こそがスポーツカーの醍醐味だと信じているからです。
しかし、ホンダはそんな私たちの懸念を、鮮やかに裏切ってくれました。
新型プレリュードに初搭載された「ホンダ S+シフト」という革新的な機構。
これは、無段変速が基本のハイブリッドパワートレインにおいて、あえてパフォーマンストランスミッションのような変速体験をシミュレートするシステムです。
ステアリングを握り、ワインディングに足を踏み入れる。
コーナーの手前でブレーキングと共にシフトダウンの操作を行えば、クルマはドライバーの意図を汲み取り、心地よい減速感と共にコーナーへアプローチする姿勢を作ります。
クリッピングポイントを過ぎ、アクセルを踏み込めば、モーター特有の瞬時のトルク(315Nm)が立ち上がり、淀みない加速を見せる。
その過程で、まるで多段ギアを操っているかのようなリズミカルなステップ感を味わえるのです。
この「変速という概念」を取り入れたことで、ハイブリッドカーは単なる移動の道具から、ドライバーと対話する機械へと昇華しました。
「アジャイルハンドリングアシスト」と「デュアルアクシスストラットサスペンション」による恩恵も絶大です。
FF(前輪駆動)でありながら、ノーズは鋭くインを向き、シビックタイプR譲りの高剛性シャシーが路面をしっかり捉える。
まるでFR車のようにアクセルワークで曲がる姿勢をコントロールできる楽しさが、そこにはあります。
速さを競うためではなく、純粋に「操る歓び」を味わうためのテクノロジー。
それこそが、ホンダが新型プレリュードに込めた魂の在り処なのです。
620万円という価格は高いか?欧州プレミアムに迫る動的質感
新型プレリュードの価格が発表されたとき、SNSなどでは「600万円超えは高い」という声も散見されました。
確かに、かつてのプレリュードを知る世代からすれば、デートカーの延長線上にある手頃なクーペというイメージが強いかもしれません。
しかし、実車に触れ、ひとたび走り出せば、その価格設定がむしろ「バーゲンプライス」にさえ思えてくるから不思議です。
最大の驚きは、その圧倒的な「動的質感」の高さにあります。
大きくて重厚なドアを閉めた瞬間に訪れる、外の世界から隔絶されたかのような静寂。
走り出しても、エンジンは黒衣に徹し、聞こえてくるのはわずかなロードノイズのみ。
ステアリングを切れば、ザラつきの一切ない滑らかな感触が手のひらに伝わり、アクセルやブレーキの操作に対しても、極めてリニアに車体が反応します。
その感覚は、例えばアウディRS3などの欧州プレミアムブランドが作り込む、緻密で洗練されたフィーリングに酷似しているのです。
ドライブモードの秀逸さも特筆すべき点でしょう。
電子制御サスペンションを備えた足回りは、モードによって明確にキャラクターを変えます。
街中では「コンフォート」で路面のうねりを優しくいなし、高速道路では「GT」でビタッと路面に吸い付くようなフラットライドを提供。
そしてワインディングでは「スポーツ」を選べば、引き締まった足腰でコーナーを駆け抜ける。
頭が不快に揺さぶられるようなピッチングやロールは見事に抑え込まれており、40扁平の19インチタイヤ(235/40R19)を履いているとは思えないほどの快適性です。
唯一の疑問点を挙げるとすれば、これほどまでに質感を高めた600万円クラスのクルマでありながら、電動パワーシートが設定されていないことでしょうか。
シビックには設定があるだけに、今後のマイナーチェンジ等でのオプション追加を期待したいところです。
それでも、ロングツーリングもワインディングも全方位で高いレベルに仕上げられたこのクルマが持つ価値は、揺るぎません。

2026年ローズパレードを先導。北米が求める「GT」の姿
新型プレリュードが目指す世界観を知る上で、象徴的な出来事がありました。
2026年1月1日、アメリカ・カリフォルニア州パサデナで開催された第137回ローズパレードにおいて、新型プレリュードが先導車を務めたのです。
ホンダは32年連続でこの歴史あるパレードの公式車両を務めており、今回は「チームの力」をテーマにしたフロート(山車)と共に登場しました。
ホンダのグローバルブランドスローガン「The Power of Dreams」を体現するフロートの周りを、新型プレリュードが滑らかに周回する。
その傍らには、アキュラ「ADX」(2026年公式サウンドカー)や、電動スクーター「モトコンパクト」、さらには「プロローグ」といった電動化の未来を示すモデルたちが連なっていました。
広大な大地を走る北米市場において、「グランドツアラー」に求められる要件は非常に厳しいものがあります。
何時間も果てしなく続くハイウェイを、疲れを知らずに巡航できる快適性。
いざという時に頼りになるパワー。そして、長距離移動における燃費性能。
新型プレリュードは、まさにその北米市場の厳しい要求に応えるべくして生まれたクルマだと言えます。
大型タッチスクリーンやGoogle built-in、ワイヤレスApple CarPlay / Android Auto対応、そしてBoseプレミアムサウンドシステムといった最新のインフォテインメントの標準装備。
これらもすべて、長く豊かな移動時間を過ごすための「おもてなし」なのです。
ホンダがアメリカという自動車大国で築き上げてきた歴史と、これから向かうべき電動化の未来。
新型プレリュードのフロントマスクには、その両方を背負って立つ誇りと自信が満ち溢れているように見えます。
記者としての考察:絶対的な速さではなく、クルマとの「対話」を選ぶ大人たちへ
ここからは、一人の自動車エッセイストとして、そして現在R32スカイラインGT-Rのステアリングを握る者としての私見を述べたいと思います。
私はこれまで、S13、S15といったシルビアで峠を走り込み、ポルシェ 981ケイマンや991.1型 911カレラSといった欧州のピュアスポーツの洗礼も受けてきました。
コンマ1秒を削る楽しさや、絶対的な速さがもたらす麻薬のような魅力は、痛いほど理解しているつもりです。
だからこそ、今の私がこの新型プレリュードを見たとき、ある種の「安堵」のようなものを感じたのです。
現代のスポーツカーは、総じて速くなりすぎました。
強大なパワーと極太のタイヤ、高度な電子制御によって、誰でも驚くようなスピードでコーナーを曲がれてしまう。
しかし、その「速さ」の代償として、クルマとドライバーの間にある「対話」の時間が極端に短くなってしまったようにも感じるのです。
限界領域が高すぎるが故に、公道でそのクルマの「本質」に触れることは、もはや不可能に近い。
私が一度手放したR32に再び戻ったのも、あの時代のクルマが持つ「適度な危うさ」や、ドライバーの操作に対してクルマが素直に反応を返してくれる「対話の余白」を求めたからでした。
では、新型プレリュードはどうでしょうか。
このクルマは、決してサーキットのラップタイムを削るためのマシンではありません。
最高出力141psのエンジンと184psのモーターというスペックは、現代の水準からすれば決して過激なものではない。
しかし、だからこそ良いのです。
「ホンダ S+シフト」を駆使して、日常の交差点を曲がるだけでも、クルマとの心地よいセッションを楽しめる。
静粛性に包まれたキャビンで、Boseのサウンドに耳を傾けながら、見知らぬ街へと淡々と距離を刻むことができる。
絶対的な速さ(タイム)を求めるフェーズを卒業し、自分のペースで、一台のクルマと深く向き合う時間の豊かさを知った大人たち。
そんな「酸いも甘いも噛み分けた」ドライバーにとって、新型プレリュードの洗練された走りと、圧倒的な燃費性能がもたらす自由は、これ以上ないほど魅力的な選択肢として映るはずです。
620万円。確かに安くはありません。
しかし、欧州プレミアムに匹敵する乗り味と、ガソリンスタンドの存在を忘れさせるほどの長距離巡航能力を手に入れられると考えれば。
それは「完璧」ではなく「最良の相棒」を手に入れるための、極めて理にかなった投資だと私は考えます。
まとめ
新型プレリュードは、WLTCモードで23.6km/L、高速実測でも21.1km/Lという驚異的な燃費性能を誇る新世代のハイブリッドGTです。
燃費の良さは維持費を大幅に抑えるだけでなく、ロングツーリングの自由度を飛躍的に高めてくれます。
「ホンダ S+シフト」による操る歓びと、欧州プレミアム車に迫る静粛性・乗り心地を兼ね備え、約620万円という価格設定以上の価値を持っています。
絶対的な速さよりも、クルマと過ごす「上質な時間」を求める大人にとって、新型プレリュードは最良のパートナーとなることでしょう。
よくある質問
新型プレリュードの実燃費はどれくらいですか?
カタログ上のWLTCモード燃費は23.6km/Lですが、高速道路での実測テストでは21.1km/Lを記録しています。ハイブリッドでありながら高速巡航でも燃費が落ちにくいのが特徴です。
新型プレリュードの価格はいくらですか?
車両本体価格は617万9800円(税込)です。ナビやBoseプレミアムサウンドシステムなどの充実した装備が標準となっています。
マニュアルトランスミッション(MT)の設定はありますか?
MTの設定はありません。しかし、無段変速のハイブリッドでありながら、擬似的な変速ショックやステップ感を楽しめる新機構「ホンダ S+シフト」が搭載されており、操る楽しさを味わえます。



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