日産

静かに速い、という贅沢──プリメーラ 20V(P12)とSR20VE NEO VVLが回し切る7200回転の物語

深夜の交差点で、その箱は隣に並んだ。白でも黒でもない、くすんだシルバーのセダン。背は高く、フォルムはどこか欧州車めいていて、けれど立派さを主張してこない。エンブレムを見るまで、僕はそれが何なのか分からなかった。誰も振り返らない、ただの実用車...
ホンダ

ホンダシティという小さな反逆──初代AAのブルドッグ・モトコンポから2代目GA2まで、80年代の遊び心の記憶

テレビから、あの合いの手が流れていた。ホンダ、ホンダ、ホンダ、ホンダ。妙な節回しの英語の歌に、無遠慮に被さってくる連呼。画面の中では、変な帽子の外国人たちが、おかしな横歩きで踊っていた。八〇年代の、まだ夕方のアニメの合間に流れていた、あのコ...
マツダ

もう一台のGT-R──ファミリアGT-R(BG8Z)、210馬力とBP型ターボがWRCに賭けた夢

あれは、九〇年代に入ったばかりの、まだ寒さの残る夜だった。峠の駐車場に、見慣れた顔ぶれが集まっていた。三菱の四駆ターボ、スバルの青いセダン。エキゾーストの匂いと、缶コーヒーの湯気。誰もが、当時もてはやされた名前の中に身を置いて、少しだけ得意...
スバル

泥を払い、山で牙を剥く──フォレスターSTIの真実|SG9・初代SF5の馬力と中古相場、STIスポーツとの違い

雨上がりの林道に、土と濡れた葉の匂いが立ちこめていた。家族をキャンプ場のロッジ前で降ろし、忘れ物を取りに、僕はひとり車に戻った。タイヤのサイドには、さっき抜けてきたぬかるみの泥が、まだ生乾きのまま貼りついている。背の高い車体が、デコボコの砂...
トヨタ

ヴィッツRSという等身大の入口──初代NCP13から130系NCP131、G’sの違いと中古MTの探し方

深夜のコンビニ駐車場に、白い蛍光灯が落ちていた。二十二時を回った郊外。買うものなんて、本当はなかった。それでも僕は、缶コーヒーを一本だけ持って車に戻り、エンジンをかけずにしばらく座っていた。フロントガラスの向こうで、虫が灯りに群がっている。...
輸入車

紳士のネクタイの内側で唸る獣──ジャガーFタイプ(X152)中古・V8・SVRの真実

夜の交差点で、信号が変わるのを待っていた。前に低く構えた一台がいる。流れるようなテールランプ。上品な、英国の血を感じる佇まいだった。だから油断していたのだと思う。信号が青になり、その車がアクセルを抜いた、ほんの一瞬。マフラーから「パン」と乾...
トヨタ

カルディナ GT-FOURという、家庭の顔をした猛獣。ST246W/ST215W 3S-GTE 260馬力・4WDワゴンの中古とMT載せ替え

夜のスーパーの駐車場。子ども用品を積んだ、地味な五ドアワゴンの列だった。その一台だけ、車高がわずかに低い。脚の奥に、太いタイヤが沈んでいる。くすんだシルバーのボディ。横を通り過ぎる買い物客は、誰も振り返らない。けれど僕は、リアバンパーの下か...
三菱

あの名前に、少年は震えた。ミラージュ サイボーグの真実──4G92 MIVEC 175馬力とZR・R・RSの違い、中古相場まで

小学生の頃、近所の模型店の棚に、一台のミニカーが並んでいた。三菱ミラージュ。箱の側面に、太いゴシックで「サイボーグ」と刷ってあった。意味なんて、よく分かっていなかった。それでも、その四文字を指でなぞるたび、胸の奥がざわついた。改造人間。機械...
輸入車

心臓を後ろに積んだ小さな相棒──ルノー・トゥインゴGTのRR・0.9ターボ・5MTと歴代の魅力

朝の路地は、いつも僕に意地悪をする。両側に塀が迫り、電柱が肩をすぼめて立っている。対向車が来たら、もう詰みだ。そんな道の突き当たりを、今日も曲がる。ステアリングを、軽い力でぐいと回しきる。すると小さな車体が、独楽みたいにくるりと向きを変えた...
輸入車

プジョーRCZという、美の確信犯。1.6THP・200PSとRの希少価値、中古が安い理由まで

早朝、ガレージのシャッターを下から上へ押し上げる。差し込んだ朝日が、低く構えた一台のルーフで二度跳ねた。一度ではない。二度だ。屋根の真ん中が、ふたつ、やわらかく盛り上がっている。その膨らみのあいだを、光が転がるように滑っていく。誰も振り返ら...